震災からの農業再生へタマネギ生産に高まる期待 4年で10倍、さらに拡大へ 福島県富岡町など2022年7月22日
東日本大震災で全町民が避難した福島県富岡町をはじめとする双葉郡内では、新たな振興作物として積極的にタマネギが栽培されている。郡内での栽培面積はこの4年で約10倍に広がり、さらに拡大する計画だ。今年はタマネギの価格が高値で推移していることもあり、農家の期待も高まっているという。
収穫されたタマネギの選果場(福島県富岡町)
双葉郡では、もともとホウレンソウなどの生産が盛んだったが、震災後、農業の再生に向けて新たな振興作物としてタマネギが積極的に栽培されることになった。福島県相双農林事務所などによると、避難生活を送る住民が通いながら栽培できる点と、イノシシの被害が少ない点が決め手になったという。平成28年から復興計画が策定され、ドローンなど先端技術を活用した栽培管理などを通して着実に生産量が増えており、栽培面積は平成30年の3.4haから4年間で32haに拡大した。
現在は双葉郡内で18人の農家がタマネギ生産に取り組んでおり、約半数は浜通りのオリジナル品種「浜の輝」として出荷されている。収穫時期が西日本産と北海道産が出回る時期の狭間となる6月下旬からで、今の時期は富岡町などにある選果場で出荷に向けた選別作業が行われている。
タマネギの栽培について、農家からは天候不順が続くと栽培が難しいという声もあるものの、土地に適した品目と受け止められているといい、今年はタマネギの価格が高値で推移する中、農家も期待を寄せているという。富岡町では令和6年に新たにタマネギの選果施設が整備される予定で、双葉郡内での生産量は現在の約500トンから3倍の1500トンに増やす計画で、タマネギの生産は着実に福島県浜通りの農業再生につながってきている。
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