2023年の花き小売市場規模 前年比100.1%の9738億円の見込 矢野経済研究所2024年1月25日
矢野経済研究所は2月24日、国内における「フラワー&グリーンビジネス市場(2023年)」に関する調査結果として、花き小売市場規模推移・予測について公表。2023年の花き小売市場規模は、前年比100.1%の9738億円と見込んでいる。
同調査によると、花き類の末端市場は、2023年は9738億円(前年比100.1%)を見込む。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことにより人流が戻り始め、イベント需要や業務需要は回復基調にあるが、市場全体は、コロナ以前の水準には戻り切っていない見通し。
世界情勢の不安定化や円安、生産・物流コストの増加に伴い、花の価格は高騰し供給状況が悪化しており、参入事業者は価格改定に踏み切っている。
フラワーショップでは、品質の高さやアレンジメントのデザイン性でスーパーマーケット、ホームセンターなどの量販店との差別化が図られてきたが、家庭用需要は安価で鮮度のよいスーパーマーケットやホームセンターにシフトしつつある。
物流の2024年問題
物流は、人々の生活や経済活動を支えるために不可欠な社会インフラだが、トラックドライバーの労働環境においては人手不足が深刻化している。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行を受けたライフスタイルの変化やEC市場の急拡大に伴う宅配需要の急増による再配達の負担も増大している。
加えて、荷主の意向に合わせたきめ細やかなサービス提供の結果として、小口多頻度化、積載効率の低下、荷待ち時間の増大などが発生し、これに伴う長時間労働が常態化しており、業界の課題となっていた。
生産性向上や物流の持続可能性の確保等を目的に、物流効率化の取り組みが進められる中、2018年に成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」によって、4月1日以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることとなった。
この法律改正により、4月以降はトラックドライバーの労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、物流が滞る可能性がある。この問題は「物流の2024年問題」として懸念されている。
花き園芸業界では、流通容器のサイズの統一など、物流資材の標準化による車両等の積載効率アップ、冷蔵設備を完備した物流拠点の整備を進めている。加えて、フェリーとトラックを組み合わせた輸送方法などを検討している。
将来展望
切花の需要拡大が大きな課題の1つとなっている。商品開発の面においては、「花色・形」、「無花粉」、「季節外れ」、「耐病性」、「収量」などの特色のある商品の需要が高いことから、メーカー各社は、こうした機能性を持つオリジナル商品の研究開発に注力している。
新しい動きとして、本来の色と異なる人工的な色に染めた生花の需要が、若年層を中心に高まっている。従来は、植物を人工的に染める不自然さなどが指摘されてきたが、生花の自然さと人工的な色の調和や、染色技術の向上により天然の生花と並べても違和感のない色を出せるようになったことなどから需要が高まったとみる。近年は"推し活"のため、キャラクターに合った色の草花を選ぶ動きもみられ、需要は拡大している。
消費者の需要を反映した生産と、産地における生産者の組織化や担い手の育成、流通・小売業まで巻き込んだブランド展開が重要な施策となる。販売チャネルの面では、旧来の花き小売店、スーパーマーケットなどに加え、Webサイトで注文すると毎週・隔週で家に花が届く定期配送(サブスクリプション)やECなど、日常生活で観賞するための花を手軽に購入できるサービスが広がっている。
同調査は2023年9月~2023年12月の期間、種苗メーカー、花き卸・小売業、切花類輸入業、Webメディア事業などを対象に同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・メール等によるヒアリング調査と文献調査を併用して実施。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲の斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2025年7月8日
-
なぜ米がないのか? なぜ誰も怒らないのか? 令和の米騒動を考える2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【立憲民主党】「食農支払」で農地と農業者を守る 野田佳彦代表2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【自由民主党】別枠予算で農業を成長産業に 宮下一郎総合農林政策調査会長2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【日本共産党】価格保障・所得補償で家族農業守る 田村貴昭衆議院議員2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【れいわ新選組】農業予算倍増で所得補償・備蓄増を やはた愛議員2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】集落と農地 地域の要 営農事業部門・広島市農協組合長、広島県農協中央会会長 吉川清二氏2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】若者を育てる農協に 営農事業部門・北海道農協中央会前会長、常呂町農協前会長 小野寺俊幸氏2025年7月8日
-
トランプ政権の移民摘発 収穫できず腐る野菜「農家に大きな打撃」2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】常に農協、農家のため 営農事業部門・全農鳥取県本部上席主管 尾崎博章氏2025年7月8日
-
150年間受渡し不履行がなかった堂島米市場【熊野孝文・米マーケット情報】2025年7月8日
-
2025参院選・各党の農政公約まとめ2025年7月8日
-
米価 6週連続低下 3600円台に2025年7月8日
-
【JA人事】JA秋田しんせい(秋田県)佐藤茂良組合長を再任(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JA北九(福岡県) 新組合長に織田孝文氏(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAかながわ西湘(神奈川県)天野信一組合長を再任(6月26日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAえひめ中央(愛媛県)新理事長に武市佳久氏(6月24日)2025年7月8日
-
宇都宮市に刈払機を寄贈 みずほの自然の森公園へ感謝と地域貢献の一環 JA全農とちぎ2025年7月8日
-
岡山の農業を楽しく学ぶ 夏休み特別企画「食の学校2025」 JA全農おかやま2025年7月8日
-
農業高校生研修を開催 秋田北鷹高等学校、増田高等学校の生徒が参加 JA全農あきた2025年7月8日