TPPで新植民地主義に加担する日本2013年9月17日
TPPの秘密交渉は、誰に何を隠しているのか。
TPPでアメリカが狙っているのは、アジア太平洋地域の諸国を植民地にすることである。日本はその片棒を担ごうとしている。そして、そのおこぼれを狙っている。それを隠しているのだ。
植民地といっても、以前のように、軍事力で領土を占領して、その国民を政治的に支配する、というわけではない。統治機構を壊して、宗主国から派遣した総督が統治しなくていい。領土と統治機構はそのまま温存しておいて、しかし、国家主権を奪い、丸ごと宗主国の支配下におく。
領土を占領するための軍事力は実際に使わなくていい。見せ付けるだけでいい。だから、摩擦は少なくてすむ。宗主国の「民」を「植」え付けなくてもいい。宗主国の「民」は殖民するのではなく、自国内で搾取を強めればいい。
それでも、植民地化の目的は達成できる。目的は、以前と同じで、グローバル資本という名前の資本による植民地での搾取である。それを妨げる制度は廃止させる。それがTPPのなかのISD条項だ。まさに国家主権の侵害である。
◇
日本は、こうしたTPPに加盟して、この地域に新しい搾取の場を広げようとしている。
アジアの成長の成果を取りこむ、といっているが、その内実は植民地化である。ただし、日本だけではできないので、アメリカの虎の威を借りようとしている。
こうした動きが露見すれば、アジアから猛反発を受ける。だから隠しておきたいのだ。
◇
資本には、もともと国境は無い。グローバル資本にも国境は無い。そのDNAは引き継がれ、強化されている。
だから、日本が原籍のグローバル企業にとって、母国の日本が植民地になってもいい。搾取が強まってもいい。賃金が植民地なみに下がることはいいことだ。こうした考えが、指導部の日本財界の考えである。TPPでこの考えを実行し易くしようとしている。
だから、財界に忠実な政府は、秘密裡にTPP交渉を進めている。国民に隠しておきたいのだ。
◇
競争だ、競争だ、と言い立てるのは、このためだ。TPPは、その極致にある。
競争とは、賃金を引き下げるための経済的強制の仕組みだ。政治的、つまり暴力的な強制ではなく、ソフトな経済的強制だから、止むを得ないと考え易い。それゆえ、摩擦が少なくてすむ。そこが狙いだ。
われわれは、競争の到達点に何があるか、を見極めねばならない。それは賃金の切り下げであり、農業者にとっては、所得の減少である。
競争を言い募る財界の狙いはここにある。これは、協同の理念の対極にある。
◇
こうした動きは、やがて失敗するだろう。植民地化によって搾取の場を広げ、搾取を強化する企ては、搾取される大多数の国民の反撃にあって、必ず失敗するだろう。
経済連携を真摯に考えるなら、そこに搾取があってはならない。見返りを求めてもならぬ。相手国の主権を尊重し、その経済発展に真に貢献するものでなければならない。
それは、友情に基づく無償の技術協力であり、無償の資金提供だろう。そして、競争でなく、協同だろう。
(前々回 TPPの甘い交渉)
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