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コラム:ここがカンジん

【福間莞爾 / 総合JA研究会主宰】

2015.11.30 
【コラム・ここがカンジん】准組合員組織化を急げ一覧へ

 准組合員は戦後、実に70年、JAおよび農水省が放置してきた重要問題である。今回の農協改革・農協法改正では、この問題が中心的な課題とされた。改正農協法では、「政府は、准組合員の利用に関する規制の在り方について、施行日から5年を経過する日までの間、正組合員及び准組合員の組合の事業の利用状況並びに農業協同組合等の改革の実施状況の調査を行い、検討を加えて結論をうるものとする」と規定された。

◆農協改革

 また農協法の改正にあたって、政府から「中央会制度の廃止」か「准組合員の事業利用規制」かの王手飛車取りの手を打たれ、全中は、前者の方向を取らざるを得なかった事情を考え合わせると、准組合員の問題は今後のJAにとって最大のアキレス腱と考えてよい。
 准組合員については、組合員でありながら、その基本的権利である共益権が与えられないという矛盾を抱えながら、今日まできていた。しかし今回、「規制改革会議」で准組合員の事業利用を正組合員の2分の1に制限するなどの具体策が明らかにされることによって、一挙に表面化した。背景には、総体としてJAの准組合員数が正組合員を上回るという事情がある。
 准組合員制度は、戦後の農協法が戦前の産業組合法を引き継ぐことによる矛盾を解決するためにとられた措置である。産業組合は組合員資格を農業者などに限定しなかったが、農協法は米国流の業種別組合の考えを取った。この結果、農家以外の地域住民の組合員を農協につなぎとめるため考え出された。

◆    ◇

 農水省の考え方は、職能論であり、准組合員はJA運営から徹底して排除する考えに立っている。近年この考えが顕著になり、利用制限まで打ち出してきた。これに対して、JAは准組合員をなくてはならない存在(パートナー)と位置づけている。このように、農水省とJAでは、准組合員に対する考え方は全く異なっている。
 JAでは准組合員をなくてはならない存在としているものの、運営の内実は、員外利用制限を免れるために利用者を准組合員にしている場合がほとんどで、主体的な協同活動の仲間と考えている訳ではない。
 この点では、JAも農水省と同じ考え方に立っている。それは、法律上、准組合員に共益権が与えられていないからだ。
 5年後の准組合員への事業利用規制を阻止するためには、どのような方策が必要か。第27回JA全国大会では、准組合員を重要なパートナーと位置づけたが、これは、これまでの延長線上に立つもので、有効な対策となりうるか疑問である。准組合員問題は、JAの組織問題に直結するだけに、踏み込んだ対策を打ち出せない事情はわかるが、もう一歩も二歩も進めた内容が求められる。そのポイントは、准組合員の組織化対策ではないのか。

◆    ◇

 これまでのJAの協同活動の対象は正組合員であり、生産部会、女性部、青年部など各種組合員組織も正組合員のためのものである。准組合員の事業利用規制が行われた場合、本当に困るのは正組合員なのである。
 この際、JAは地域農業を守る協同活動の仲間として准組合員を組織化(担当者の設置・活動費の手当て)し、JAの仲間として協同活動を共に行っていくべきであろう。JA傘下の全国で500万人を超える准組合員が放置状態にあるのは、誰がみても異常である。
 准組合員に事業利用(主に、信用・共済事業)だけを求めるのは、協同組合とは言えない。TPPで、今後農業はますます縮小する。農業は農業者だけのものという狭い考えでは、JA運営を展望することはできない。
 今後、JAは農業者・農家の利益代弁だけでなく、広く地域住民を含めた組織運営に転換していくことが重要である。遅きに失したとはいえ、准組合員問題とともに、JAの将来ビジョンを考えて行くことは避けて通れない問題であり、JAにはその覚悟が求められている。

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