【コラム・目明き千人】農政の責任者は週刊誌の記者か2016年5月23日
与党の農林部会長殿が農協批判で週刊誌並みの発言をしている。農協の生産資材が業者やホームセンターより高いので実態を調査して是正処置をとる、の事実の無知ぶりを水田用肥料でみてみよう。
農家にとってコメづくりに必須の条件は、品種、作型、土壌、気象条件に合った肥料を必要な時に間違いなく確保出来ることである。コメの値段が下がっているので価格も安くなくては困るが上記がコメづくりでは必須条件である。
実際に使うのは田植え前の基肥が70~80%で生育に合わせた追肥が20~30%である。
一方、肥料メーカーから見るとコストを下げるうえでのネックは種類が多い、需要時期が限定、地域性、需要量が不安定、保管・輸送コスト、原料のリン酸、カリが輸入品、等であり、コストダウンのための年間を通じて計画的に生産をして在庫を持たずに都度の出荷が出来ない。
このような水田用肥料の需給のネックを調整しているのが農協の予約購買の仕組みである。農家は必要な量を農協に予約をする、これを県連、全農と集計をして各地域に合った肥料の製品別の必要な量を集計して各地域の肥料メーカーと契約する。工場の操業は年間を通して行い出来たものは農協が引き取り保管し、農家が使う時に配達するか農家が引き取る。
農協には各農家の田んぼ毎の土壌分析、収穫量や販売結果のデータがあるので肥料の成分や施肥の量や時期を分析して翌年のための農家へアドバイスが出来る。これが営農指導である。肥料メーカーもこのような仕組みであれば計画的な製造、販売、代金回収が出来、肥料製造でコメの反収、販売結果のデータは貴重な資料となる。このような仕組みを40年以上かけて構築している。
業者やホームセンターの特売価格だけを比べて農協の方が高い、ということを評論家が農協の実際の業務を調べもせずに時の話題で言っているのであれば無視をすればよいが、政権与党の農政の責任者の発言となると無視はできない。
農協批判をこの程度の知識でするのは発言者も週刊誌記者と同類項であるということをお忘れなく。
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