協同組合同士の太い繋がりを2017年2月14日
あの東日本大震災から間もなく6年が過ぎようとしている。私は偶然にも、前日から福島に出かけており、帰りの東北新幹線に乗ったのは地震発生の一時間前。新幹線が大きく揺れて緊急停止、その後の余震でガクンガクンと大きく揺れる車内で、パソコンの画面に「大津波警報」の5文字。ただ事ではないことが起きている…と言い知れぬ恐怖感を覚えたことを昨日のように覚えている。
あの日から1年半ほど経過した晩秋、JAいしのまき矢本地区女性部の皆さん「しゃべろーず」によるスコップ三味線の軽快な音色が「2012JAまつり」(平成24年)の会場で賑やかに鳴り響いた。震災から一年たたない翌年2月、「全国家の光大会」においてJAいしのまき矢本地区女性部長渡辺ふき子さんの発表(農林水産大臣賞)に感動した当JA女性部役員の皆さんがその夏、東松島市矢本地区を訪れたのがきっかけ。あっという間に交流が深まり松本までお越しいただくことになったのである。その夜の交流会で語り、歌い踊った皆さんの明るさが印象深い思い出として心に刻まれている。
※ ※ ※
2013年(平成25年)夏には当地区の名産品である「ハイランドすいか」を仮設住宅に届け、女性部・青年部・役職員が現地へ出かけた。少しでも元気を出してほしいとの思いからである。また、その秋には当JA直売所の新米祭りに職員が訪れ、石巻産のササニシキはもちろんのこと、石巻漁協と提携しての「新さんま」をその場で焼いて提供してくれた。
姉妹JA締結式はその年の12月、日本三景松島のホテルにおいて厳粛かつ盛大に執り行われたのである。
締結式から間もないころ当JA管内は数十年ぶりという豪雪に見舞われ1000棟を超えるハウスが倒壊した。その際JAいしのまきの大勢の役職員が被災ハウスの撤去等に駆けつけてくれた。黙々とテキパキ動く姿に胸が熱くなった。
※ ※ ※
以降、当JAから農業法人への作業支援、JAいしのまきからリンゴの収穫応援と組合員を巻き込んだ交流や、昨年からはJAいしのまきが主催する少年野球大会へのスイカ振る舞い、双方の食農イベントへの参加はもちろん、役職員交流では野球大会や女性職員交流会等ずっと昔から家族でいたような交流が続いている。
平成27年12月には当組合の役職員大会へJAいしのまき松川代表理事組合長から「ふるさと石巻の再生へ~東日本大震災からの復旧・復興の取組み~」と題して発災から今日に至るまでのご苦労をお話しいただく機会もつくることができた。
※ ※ ※
また、当組合では3年前から「ささえ愛」という定期貯金を取り扱い、上乗せ金利の一部を復興支援のため届けている。今年度もこの地域に暮らす7500名を超えるみなさんから前年を上回る63億円余が集まった。直接支援はできないがどこかでつながっていたいという思いが実ったともいえる。
「思い」の交流こそが大切であり、人事交流も昨年10月よりスタート。JAいしのまきより若手職員が派遣され当組合で活躍している。
※ ※ ※
交流を長続きさせるために大切なことは、お互いの「違い」を認識し、その「違い」を大切にしながら進むことだと思う。交流が定型化することでマンネリ化をもたらしてはならない。相互に尊重し合うという原則に立って、交流分野が特定分野に偏らないよう努力することも大切。
当地域は、これまで大きな災害もなく、日常がごく当たり前に過ぎ去っていく中で、私たちは「感謝」するものに気づかないで日々を過ごしている。その意味でも、筆舌に尽くしがたい思いを刻んできた人々との交流は、私たちJAにとって大切な何かを気づかせてくれるだろう。
※ ※ ※
新自由主義とやらを信奉する内外の勢力が跋扈し、JA解体を目論み農のくらしとそれを支える地域社会を分断しようとしている時代に、JA間はもとより協同組合同士の繋がりを太くし、彼らが超えようとしても超えることのできない絆の防波堤を創り上げたいものである。
また会いたくなる種をまきつづけよう。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































