【リレー談話室・JAの現場から】産直を軸に定住促進2017年5月18日
◆県域の専門農協で
紀ノ川農協は、和歌山県全体を地区とする販売専門農協で、販売先の7割が全国の生活協同組合です。紀ノ川農協の特徴を一言でいうとこのようになります。従って、組合員が農業を続けられること、担い手が育つことが極めて重要な課題です。
農協では、3年後の2020年、東京オリンピックの年を節目とし、現在の事業規模の維持をめざしています。この目標を達成するために、主要品目で初期投資の大きなハウスやキウイフルーツ棚のレンタル事業を始めました。主要品目はトマト、平種柿、タマネギ、ミカン、キウイフルーツ、キュウリ...の順です。主要品目による規模拡大を進め、新規就農者を迎え入れられる状況をつくります。
また、和歌山への移住・定住を促進する「交流活動」を活発に行うことを検討しています。
交流活動の柱は、「職と農、環境を学ぶ体験学習」と「将来、新規就農や定年後の就農をめざす人たちへの農業体験」、「プロ農家をめざす人たちへの農業研修」で、耕作放棄地の再生も組み入れて行います。この取り組みは農協の地域づくりとして進めるものです。
和歌山県内でも1番の過疎地域で、ようやく過疎対策事業と地域おこし協力隊事業に取り組む地域づくり協議会が立ち上がりました。話し合いの過程では「もう遅い」という意見もありましたが、4月からは地域おこし協力隊員も赴任しています。紀ノ川農協の法人組合員のいる地域ですが、本所のある紀の川流域でも、最近過疎に指定された地域があります。
かつては貯蔵ミカンが盛んな地域でしたが、いま、ミカン畑はほとんどなくなり、耕作放棄地が広がっています。紀ノ川農協の若手で、交流委員会の担当理事が耕作放棄地に囲まれながら柑橘栽培を頑張っています。この地域で耕作放棄地を解消してレモンを植える企画です。
取引先に呼びかけ、インターネットでも参加者を募集します。若手の組合員が運営する農家民泊も活用し、週末に農業の体験を行い、定年後の就農をめざしたり、プロ農家をめざしたりするための拠点にと考えています。
都市からの移住定住を促進するためには、受け入れる地域の取り組みが大切だと思います。困難な課題ですが、地域を再生する地域住民の取り組みが、移住・定住を希望する人たちの魅力ではないかと思います。このような素敵な人たちがいることが励みになります。
紀ノ川農協は、生協産直を軸に進んできました。産直は、地域を再生していく上で重要です。そして、産直の意義は、とりまく環境の変化のなかで変わってきています。産直は、「生産者が明確、栽培方法が明確、交流ができる」を3原則としていますが、これは、安全で安心な農産物を求める消費者の目線です。これからは、産直の社会的な役割を明確にする必要があると思います。
この視点から産直の原則を考え直すと、「生産者と消費者が提携の関係にあること、栽培方法が持続可能な農業をめざしていること、情報や体験だけの交流ではなく移住定住も促進する交流ができること」が、これから求められると思います。
昨年の夏から和歌山大学と学生のインターンシップの受け入れを始めました。都市からの移住定住を促進するということをテーマにする課題解決型のインターンシップにしたいと思って取り組んでいます。
今年の夏は、「友活・恋活・婚活」をテーマにしています。紀ノ川農協の交流プログラムです。和歌山県の農家とともに応援していただく、和歌山に恋して移住・定住していただく、そこでパートナーをみつけ、共に農業をしていただく取り組みです。
婚活は、夏に、全国でも数少ない山地酪農に取り組んでいる牧場で行います。取引先の生協にも後援していただく予定です。農業、地域の担い手の育成、重たい課題ですが、農協と大学、生協が連携して、楽しく取り組んでいこうと思います。
重要な記事
最新の記事
-
【報告3】コウノトリがつなぐ地域と農業 JAたじま常務理事 西谷浩喜氏2024年4月24日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2024年4月24日
-
タケノコの出荷が最盛期を迎える JA熊本市2024年4月24日
-
有機農業は原発依存症に効く【小松泰信・地方の眼力】2024年4月24日
-
【JA人事】JAびらとり(北海道) 仲山浩組合長が再任2024年4月24日
-
【JA人事】JAいわみざわ(北海道) 引頭一宏組合長を再任2024年4月24日
-
「第20回オフィス防災EXPO【春】」出展 長期保存可能で調理に手がかからない非常食をPR サタケ2024年4月24日
-
福岡で初の体験展示会「アシストスーツEXPOinFUKUOKA2024」開催2024年4月24日
-
東京・大阪のBBQ施設で「ロングライフ牛乳」2万本 GWに無償配布 日本テトラパック2024年4月24日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」徳島県で阿波踊りを体験 JAタウン2024年4月24日
-
期間限定「牛乳が飲みたくなるあんぱん」新発売『ミルク大臣』寺田心の新CM公開2024年4月24日
-
「応援しよう能登!つながろうこども食堂!こどもの日イベント2024」開催 むすびえ2024年4月24日
-
米ぬか由来ナノ粒子の抗がん作用を確認 東京理科大学2024年4月24日
-
不要な「園芸用土」リサイクル回収の取組を強化 島忠2024年4月24日
-
淡路島で収穫体験「Awaji Nature Lab&Resort」27日から開催2024年4月24日
-
総供給高は7か月連続で前年超え 3月度供給高速報 日本生協連2024年4月24日
-
旬のフルーツ詰め合わせた「母の日ギフト」オンラインショップ「Seika」で販売2024年4月24日
-
各界トップランナーの講義を1冊に集約『北海道未来学』発売 コープさっぽろ2024年4月24日
-
温暖化に対応 パインアップル品質予測モデルを開発 農研機構2024年4月24日
-
3年連続で健康優良企業「銀」健康づくりの取り組みが評価 パルシステム2024年4月24日