東京に新しい政治の息吹き2017年7月3日
東京の議会選挙は、小池新党である「都民ファーストの会」の圧勝という結果になった。完勝といっていい。
小池新党は、都議会第1党になり、自民党を第2党に追い落した。自民党の惨敗である。都民は、自民党に飽きたわけではない。その政策に反対の意志を明確に表したのである。
これは、アメリカ、フランス、イギリスでの弱者の、やや歪んだ形での勝利に続く、東京での勝利である。世界の政治の新しい潮流が、東京にまでやってきた。やがて、東京から地方へ、そして農村まで流れ、日本中で渦巻くだろう。この弱者の勝利を、つぎの国政選挙へ引き継がねばならない。
上の図は、今度の都議選の結果を、前回の2013年の結果とあわせて示したものである。
小池新党は、公認候補50人のうち49人が当選した。完勝といっていい。これに無所属の推薦候補者を加え、公明とネットを加えると79人になる。小池与党は都議会の半数をはるかに超える。一方、自民党は23人で、前回と比べると4割以下になった。民進党が3分の1の僅か5人になったことも見逃せない。
◇
自民党はこれまで、地方議会の選挙は国政とは違う、という決まり文句をいってきたが、こんどは自民党本部にも震撼が走っている。このままでは、次の国政選挙が戦えないという危機感である。以前にも、都議会選が国政選挙の前哨戦だったことが度々あったからである。
こんどの自民党の敗因は、一強政治の傲慢な驕りだ、とする考えがある。しかし、それは違うだろう。自民党政治をどんなに謙虚な姿勢で、誠実に説明しても国民は納得しない。政策の内容そのものに国民は反対しているからである。
それは、TPPの政府間合意で弱者を痛めつけて、経済民主主義を否定しようとし、安保法制で平和主義を否認し、共謀罪法で人権を蹂躙するという政策への国民の反対である。これらは、すべてこれまで培ってきた憲法の基本原理に反している。
◇
小池新党は、やがて国政に進出するだろう。そのときには、国政にかかわる基本政策の全体像を示さねばならない。このとき、国民主権の民主主義と基本的人権の尊重と平和主義を貫き通せるか、が厳しく問われることになる。
当面する政治課題は、TPP合意の破棄、安保法制と共謀罪法の廃止である。このとき、予想される財界からの反撃に断固として抵抗できるか。それとも、自民党化、民進党化して国民を裏切るか。国民は厳しく注視している。
こんどの都議選で示された新しい政治の息吹きが、全国に伝播することを期待したい。
(2017.07.03)
(前回 国会論争に見た野党ぼけ)
(前々回 監視社会への陰謀を打ち砕こう)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日