【コラム・森田実の政治評論】安倍首相との昼食懇談2017年8月22日
安倍総理の「反省」がホンモノか否かが試される時
人は幸運のときに偉大に見えるかもしれないが、
真に向上するのは不運のときである(シラー)
◆好運から不運へ
2012年12月から2017年夏までの4年、安倍首相は好運すぎるほど好運でした。国内においては野党第一党の民進党が壊滅状態でした。民進党への国民の期待は地に落ちてしまい、安倍体制は安泰でした。自民党内では安倍首相の批判者はほとんど皆無でした。自民党国会議員は安倍首相に従順すぎるほど従順でした。マスコミも役人も安倍首相の「お茶坊主」化してしまいました。国民の多くは安倍首相を支持しつづけました。「安倍一強」体制が確立し安倍首相は「わが世の春」を謳歌していました。
しかし「幸運」は長つづきしません。2017年夏の東京都議会議員選挙が始まると安倍内閣支持率は下落し始めました。7月2日投開票の東京都議選で都議会自民党は大敗北を喫しました。これをきっかけにして安倍内閣支持率はさらに下降し、支持率と不支持率が逆転しました。一部の調査では安倍内閣支持率は30%を下回りました。
しかし、8月3日に行った内閣改造で支持率は下げ止まり、わずかですが回復しました。
安倍首相の高慢・傲慢になったことの反省と国民への謝罪、低姿勢への転換、内閣改造による問題閣僚の交代、党内ハト派の宏池会との自民党内同盟関係の確立によるハト派イメージへの転換などが功を奏したのです。
しかし、政界内部には「安倍総理は喉元過ぎれば熱さを忘れるのではないか」との声が出始めています。安倍首相の反省は、単なるポーズだけだったのか、それとも「真の反省」だったのか、これから行動によって明らかになります。国民が「反省はポーズのみ」と判断した時には、安倍首相の「真の不運」が始まるでしょう。
◆安倍首相との昼食懇談
安倍総理秘書官のI氏から私の携帯に電話があったのは6月26日のことでした。
この日、私は友人の都議会議員選挙候補者の応援のため街頭活動をしていたため電話に出ることはできませんでした。夜電話したところI氏は「総理が森田さんと昼食をご一緒したいと希望しています。いかがでしょうか?」とのこと。「申し訳ないのですが7月1日までは時間がどうにもとれません。7月になってからでよろしいでしょうか」と返事したところ、7月13日昼に決まりました。前回と同様、安倍総理、二階俊博幹事長と私の三人で総理官邸2階で昼食をとりました。食事は「うな重」でした。三人が席に着くと同時に、安倍総理が語り始めました。「むきになった発言を反省しています。丁寧に話すべきでした」との反省の弁から始まり、加計学園と総理自身の関係について語りました。総理は自身の関与をはっきり否定しました。会食後に記者団から聞かれて「総理は"むきになったことを反省している"。もっとソフトに対応すべきだったと言っていた」と私は語りましたが、「ソフト」というのは私の言葉で正しくは「丁寧に」でした。軽率でした。この部分のみ訂正します。
総理の話が一段落した時、私は加計学園問題について、加計理事長には安倍総理への友情を発揮し、総理を助ける行為をしてほしい、具体的には一歩か半歩か引いてほしい気持ちです、と話しました。総理は何も答えませんでした。
さらに私は第二次大戦後7年以上の長期政権だった吉田茂内閣と佐藤栄作内閣を例にあげて、両内閣とも4年ほど経たところで国民のきびしい批判を浴びたこと、いつまでも評判のよい政権などありえないと話しました。総理はうなずいていました。
吉田内閣はつねに衆議院解散で国難を乗り切ろうとしました。佐藤内閣は党・内閣の人事をきびしく行うことによって逆境を乗り切ろうとしたことを話し、暗に、早期の衆院解散を提案しましたが、総理は沈黙していました。
総理と二階幹事長と私が会食した7月13日に、総理が自らの高慢さやむきになったことを本気で反省していたことは疑う余地はないと思いますが、8月3日の内閣改造で支持率を持ち直したことで、逆境を突破できたと考えるとすれば、総理は失敗するでしょう。もっと謙虚になるべきだと思います。
◆8月は平和を祈る時
最近日本国民の平和意識が強くなったと私は感じています。数年前から第二次大戦時の生々しい戦争体験が、体験者から語られるようになり、戦争の悲惨さが知られることとなりました。また安倍内閣が憲法改正を急いでいることに国民の不信が高まってきているのです。私は、安倍総理による憲法改正は不可能になったと思っていますが、たとえ国民投票になっても安倍総理による憲法改正案は否決される可能性が高いと予測しています。
安倍首相は「不運」の原因を分析し、平和の方向へ政治の方向を変えるべきです。米国ファーストに同調せずに、日本国民の利益を守るためにもっと努力すべきです。
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