重要品目関税維持を-安倍総理に申入れ2017年7月5日
自民の対策本部
自民党の日EU等経済協定対策本部は、EPA交渉の大枠合意をめざして7月6日に予定されている日EU首脳会談を前に4日、安倍総理に対して国益が損なわれることがないよう農産物の重要品目では関税を維持すべきだなどとの申し入れを行った。
日欧EPA交渉は6月30日にEU側担当閣僚のマルムストローム欧州委員が来日し岸田外相との間で閣僚級会合が開かれるなど、精力的な交渉が行われている。
岸田外相は4日深夜に日本を出発し5日に担当閣僚として引き続き交渉にあたる。その後、安倍総理は5日に日本を出発、6日にベルギー・ブリュッセルで日EU首脳会談に臨み、大枠で合意したい意向だ。
こうした交渉の進展をふまえ、自民党日EU等経済協定対策本部は分野ごとに5つのグループを立ち上げ、政府や関係団体から意見聴取を行うなど集中的な議論を行って意見とりまとめを行い、6月26日には岸田外相に12項目の申し入れを行ったが、今回は首脳会談というヤマ場を迎え総理に8項目の申し入れを行った。
申し入れでは「攻めるべきは攻め、守るべきは守り国益を最大化する観点から政府が一体となって交渉に臨むべき」とした。
農林水産物分野では、これまでの議論で急に交渉が進展し始めて、農業者はTPPに続いて農業が犠牲になるのではないかと強い不安を持っていることや、欧州産の豚肉、チーズなど乳製品は、米国産やTPP参加国産よりも競争力があり、生産者の不安が大きいことが指摘された。とくにチーズなどの乳製品の関税が下がるとチーズなどに前向きに取り組み始めている農業者の意欲を失わせることから、生乳流通の改革のための改正法案が成立しているなか、強い危機感をもって交渉すべきだとした。
こうしたことから申し入れでは国益が損なわれることがないよう、特に、豚肉・牛肉、チーズ等の乳製品、麦、甘味資源作物など「重要品目の再生産が引き続き可能となるよう、必要な国境措置をしっかち確保すべきである」とした。同時にEUへの輸出促進に向けて農畜産物の輸出解禁の実現や、GI(地理的表示)の相互保護などに全力を尽くすべきであることも申し入れた。
総理への申し入れ後に開いた対策本部会合で西川公也・日EU等経済協定対策本部本部長は「最終段階まで予断を許さない状況。国益が損なわれないよう(総理に)申し入れた。守るべきものは守り抜く」などと話した。 今回の日EU交渉ではチーズが焦点のひとつとなっている。EU側はチーズ全品目での関税撤廃を求めているとされる。一方、TPP交渉ではハード系チーズ(プロセスチーズの原料用チーズなど)では長期の関税撤廃には合意したが、カマンベール、モツァレラなどのナチュラルチーズなどソフト系は関税を維持した。
こうしたことから、全品目の関税撤廃要求に一定程度応じる決断を首脳会談ですれば、TPP以上の譲歩にもなりかねない。
会合後、記者団に西川本部長は「原則、TPPを超えることはないと受け止めているし、われわれの主張は終始一貫、TPPに影響させないという姿勢だ」と話した。
また、チーズに低関税枠を設定することを日本側が検討しているという報道でについて「こちらは一切妥協しないと言っているが、向こうは譲れの大合唱。そうすると着地点はその間だと思う」と述べ、交渉では低関税枠設定の議論も想定されるとしながらも「われわれはあくまで関税維持で進んでいきたい」と述べた。
(写真)記者団に答える西川本部長 4日午後自民党本部
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