【年頭あいさつ 2026】菱沼義久 一般社団法人日本農業機械化協会 会長2026年1月3日
JAcomでは、新年にあたり農林水産大臣をはじめ、JAグループ全国組織や農業関連団体のトップによる年頭あいさつを順次掲載する。食料安全保障の確保や農業を取り巻く環境の変化など、重要な課題が山積する中で、2026年に向けた各団体の考えと決意を伝える。
菱沼義久 一般社団法人日本農業機械化協会 会長
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。昨年は各地での線状降水帯による大雨被害や、酷暑による熱中症事案の発生が数多く報じられました。また、秋以降には農村や市街地まで熊が出没し、人的・経済的被害が発生したことは記憶に新しいところです。世界を見ますと、依然として先行きが見えないロシアのウクライナ侵攻、さらに各地で地政学的リスクの増大や分断の動きがみられます。農業機械などの資材価格や諸物価の高騰・高止まり、さらに、米の需給が大きな社会問題となりました。こうした状況が一刻も早く改善され、安心して農業経営に取り組めるよう祈るばかりです。
さて、昨年は「食料・農業・農村基本計画」が策定され、新たな農政が動き出しました。基本計画には様々なKPI(評価のための指標)が設定され、その達成には農業機械が重要な役割を果たします。ロボットトラクターなどのスマート農機を、より多くの地域において大面積での利活用に展開することが必要です。このためには、基本計画にも示されている「サービス事業体」を活用し、経営や栽培のデータをフルに活用していくことが必要です。もちろん、環境負荷低減を目指す「みどりの食料システム戦略」も両立して進める必要があります。このような新しい取り組みが今後の我が国農業を持続的なものとするために重要なポイントとなるものと考えます。
ロボットトラクターなどのスマート農機の利活用を推進するには、安全性の確保は一丁目一番地です。当協会は、研究機関や関係メーカーなどの参集を得て、安全方策策定のための検討を行っています。この検討結果は農林水産省に提言され「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」に反映されています。
また、貴重な担い手を守るための農作業安全対策も非常に重要です。農作業中の死亡事故件数は微減傾向にある一方、就業人口当たり死者数は他産業より相当高く、安全対策の一層の強化を、危機感をもって当たる必要があります。当協会は、農林水産省が実施する「農作業安全検討会」や厚生労働省の「農業機械の安全対策に関する検討会」などへの参画を行い、意見具申等を行っています。特に「農業機械の安全対策に関する検討会」での検討内容は「労働安全衛生の考え方を農業にも適用する」新たな方向性を示しており、今後の農作業安全対策として期待されるものです。トラクターのシートベルト装着、熱中症対策などのPR・広報啓発や農業機械士の皆様を通じた安全啓発活動などにより、一層の安全確保を図っています。
さらに、生産性向上・コストの低減のためには、特に中古農業機械査定士制度の設置・運営に尽力しています。全国どこででも実機を前に、スマートフォンやタブレットに機械の型式や年式などを入力すれば査定価格が算出できる仕組みの運用などにより、健全な中古市場育成を目指しています。
末筆となりましたが、本年も農業機械化・施設化に尽力される皆様のご発展とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
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