【リレー談話室・JAの現場から】家庭訪問活動 30数年実行して思うこと2019年5月22日
私が新入職員のとき、金融渉外担当者として支店に配属された。当時体験した今でも忘れられない経済事業推進を紹介する。当時の支店は支店長のほか、金融共済業務を4人(主任のほか窓口担当2人と渉外担当の私)、経済業務を3人(主任のほか担当2人)で行っていた。
支店経済担当主任が農工連の製造した1升びん入り「農協しょうゆ」を軽トラックいっぱいに積み、支店横のお宅から軒並み声掛けして行った。私はしょうゆを軽トラックから家に運ぶ役割だった。主任が「おばちゃん、しょうゆもって来たで、何本かおいとこか」「そやな、○○本おいといて」。このような会話が続いて、あっという間に軽トラックの荷台は、引き取った空びんと空ケースだけになった。
私は「あっという間に供給できましたね」と感想を経済主任に言うと、経済主任は「あそこの家族構成は○○で、このくらいは買ってくれる。隣の○○は○○で...と、このくらいの量(軽トラック満杯のしょうゆ)は供給できる量だ」と言った。経済主任がそれぞれのお宅のしょうゆの使用量まである程度把握していたことに大変驚いた。そんなことを懐古しても、当時と今では職員数も経済状況も違うといわれそうだが、職員が組合員宅のことを良く知っている例と思い紹介した。
30数年間、私は家庭訪問活動を行ってきた。部長職を拝命し、訪問したお宅で名刺を出し自己紹介した際、複数の人から「わざわざ本店の部長が、JAからのお知らせを届けてくれるのか」と驚き、恐縮された。
「部長という役職は仕事を進める上での立場で、組合員とお付き合いさせていただく時は、一般職も役付き職員も同じです」と答えた。自分の気持ち(家庭訪問活動は、職員がJAからのお知らせを伝え、ご意見をお聞きする場であるから職員間に区別はないということ)を正直に伝えたつもりだが、どのように捉えていただいたか。
定期的に実施する家庭訪問活動で大切なことは、職員と組合員とが会話する中で、情報や意見を交換することである。その家庭訪問活動を充実させるには、制度の設計と運用の徹底が重要と思う。
JAいがふるさとの「家庭訪問活動規程」で、家庭訪問の目的を「家庭訪問日における外務活動について、管理運営上必要な事項を定め、あわせて地域との密着をはかること」と規定し、訪問日の主要業務を(1)「この組合で定めた営農貯金取引明細報告書、広報、購買品請求明細書及び取引書類・帳票の配布とし、その他集金業務(金融・共済・購買等)を行い、併せて各事業の推進業務を行う」、(2)「該当ふれあい店長(又は支店長)から指示された推進業務及び依頼された業務」、(3) 「担当地区におけるふれあい・相談活動の充実」としている。
制度の設計(仕組みづくり)は、いつ・誰が・どの地区で・何を・何故・どのようにするのか、いわゆる5W1Hを明確にすることにある。職員にその制度を理解させ実行させるには、運用の徹底が必要と思う。例えば、家庭訪問活動の際、JAからの書類をポスティング中心に行い、組合員との面談率が低ければ、組合員の声は一部のもので、普遍性を求めにくいと思う。
家庭訪問活動で、支店長が留意しなければならない点(運用上の要点)は、通常の業務の支障にならないような訪問日の班編成をすること、担当職員の経験に応じた訪問地区割りをすること(集金業務の多少も含め)、当日の訪問内容(JAから特に伝えたい事項)や行動予定を、担当者個々に徹底するため、朝礼・ミーティングにおいて指示・伝達し、事後提出する日報で確認することである。これらをJAいがふるさとでは、「家庭訪問実施要領」として規定している。
私は本年3月末で定年退職し、現在は嘱託職員として総合企画部の企画・広報業務に従事している。後輩職員が協同組合の職員として資質を高めていく参考になれば幸いである。
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