【森島 賢・正義派の農政論】新型肺炎患者の自宅療養は棄民だ2020年4月6日
政府は、新型肺炎の患者のうち軽症者について、隔離を拒否し、自宅で療養せよ、という。
一方、WHOは、各国に対して、検査体制を充実し、患者を早期に発見して隔離することを求めている。しかし日本政府は、この求めに反して、患者のうち一部の軽症者とはいえ、隔離を拒否するという。
日本政府は、WHOが求めている検査体制の充実を、以前から怠ってきた。そして、各国から不評をかっている。
在日米国大使館は、日本政府が広範囲に検査を行っていないので、どれだけ感染が広まっているか分からないとして、在日米国人に早急な帰国を促している。日本は米国から危険な国とされたのである。
こうした状況のなかで、こんどはWHOが求めている検査体制の充実だけでなく、隔離もやめて、自宅で療養せよという。ますます危険な国になる。
自宅療養では、家族への感染を防ぐことなど、できるはずがない。家族に感染の責任を負わせるだけでなく、新しい感染源になって、感染爆発を多発させ、ますます感染を勢いづかせるだろう。
最近は、病院でさえ院内を感染源とする集団感染が数多くみられる。感染者を病院へ入院させて隔離しているつもりでも、周囲へ感染させることを防げないのが実態である。医師などの医療従事者への感染も少なくない。彼らの献身的な努力には、頭が下がるばかりである。
まして、自宅療養にすれば、家族への感染が多発し、蔓延するだろう。感染爆発の起爆剤の拡散になる。
なぜ、こんなことが罷り通るのか。
◇
新型肺炎についての政治家の議論をみると、その多くは経済問題に明け暮れている。新型肺炎で所得を減らした人たちをどのように選び、どれほどの金額を給付するか、という議論である。
それも重要だが、いまは感染爆発の寸前にある。それにもかかわらず、感染対策についての議論はない。何故か。
政治家は、与野党を問わず、カネの給付は選挙のときの票になるが、対策の議論は票にならない、と考えているのだろう。だから、与野党が協力して......というだけである。対策についての議論はない。
いまこそ、どのような対策が、真に国民のためになるか、を与野党で考え、互いに批判しあって、最善の対策を講じるべきである。
◇
ここで、野党に代わって、政府の対策を批判しよう。2点ある。検査体制と隔離体制である。
はじめに検査体制だが、政府は当初からその整備を怠ってきた。それは、感染者をなるべく少なく見せようとしたからである。そうすれば新型肺炎による死亡者を少なく見せることができる。そして、政府の対策の成功として誇れる。票になるかもしれない。
しかし、検査を拒否された実際の感染者と、新型肺炎によって死亡した実際の死亡者は、数多くいるだろう。彼らは、重篤化しても非公認だから、隔離のための入院もできず、治療もされずに重篤化し、また、家族や友人を感染させ、そして、闇の中に隠される人たちである。
その数は、誰も知らない。だが、いまや隠し切れないほどの多さになっているだろう。在日米国大使館は、それを見破っているようだ。
いまからでもいい。徹底的な検査を行うべきである。そうして、事実と科学に基づいた対策を構築すべきである。
◇
もう1つの批判点は、隔離体制である。
政府は、当初から隔離体制をなるべく整備したくなかった。カネがかかるからである。このカネは票にならない。だから、カネをかけないことが対策の最重要な課題なのだろう。
感染者は全員を隔離する法的義務があるので、感染者の公認数をなるべく少なくしたい。そうすれば、隔離施設の整備にカネをかけなくてすむ。
こんどの政府の決定は、公認された感染者の全員を隔離し、病院で療養するのではなく、そのうちの一部とはいえ、自宅で療養せよという決定である。
公認された感染者も犠牲にされるのである。
◇
では、今後どうすればいいか。
いまからでも遅くない。医師が疑わしいと考えた人は、あれやこれやの言い訳をせずに、全員を検査することである。そして実態を明らかにすることである。そうすれば、今後の感染状況を科学的に、より精度の高い予測ができるし、科学的な対策を行うことができる。
その上で、感染者を隔離するために、利用できるあらゆる施設を使って、病状に応じた隔離施設の整備を急ぐことである。
これは、政府が、無責任な、いわゆる専門家を隠れ蓑に使って決めるのではなく、責任のある与野党の政治家が白熱の議論を経て決めるべきことである。
いまや、政治家が国民の命運を、直接握っている。政治は結果だという。言い訳は見苦しい。全員検査、全員隔離を急ぐべきである。
(2020.04.06)
(前回 新型肺炎対策の非科学性)
(前々回 肺炎列島の予感)
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