小松泰信 『農ある世界と地方の眼力3』【自著を語る】2020年12月15日
本書は、農業協同組合新聞の電子版JAcomにおいて、私が毎週水曜日に担当しているコラム「地方の眼力」の2019年4月3日付から20年3月25日付までの49編からなっています。
2020年9月16日に幕を下ろした第2次安倍政権のもとで、国の基である「農」は厳しい状況を強いられてきました。さらに、公文書等の改ざん、隠蔽、廃棄等々の信じられないことも常態化しました。
時系列で編集した結果、図らずも「農ある世界」を巡る情況についてのウィークリー・クロニクル(週間時評集)となりました。当コラムが、あったことを闇に葬らせることなく、後世に残しつづけるという重要な役割を担っていることを、秘かに自負しています。
JAグループにおける政権への追従姿勢についても、厳しい言葉でその是正を迫っています。政権におもねり、その場しのぎのお追従を続ける限り、社会的信頼を失うことはあっても、得ることはないからです。
「JAグループは仲間です。敵対関係にはありません。もう少し言葉を選んでいただきたい」との声も聞こえてきます。しかし、言うべきことは、すぐに、そしてはっきりと言わなければ、消極的加担者となります。
コラムの企画段階で、「あくまでも地方からの目線にこだわったもの」「地方の新聞の中にも農業問題で結構頑張っているところがあります」という編集担当者からいただいたアドバイスに従い、地方紙の社説や記事を参考にしています。
多くの地方紙は、農業をはじめとする第一次産業が極めて多様かつ重要な役割を果たしていることを正当に評価しています。互いに連帯し、「農ある世界」の情報発信に務めていけることを願っています。
漫筆集と副題に記しているように、自由に、のびのびと「おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざなれば、筆にまかせつつ」執筆しました。すばらしい「場」を提供していただいている一般社団法人農協協会には、この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
菅政権は、安倍政権の継承を自認しています。
「農ある世界」に関してもコロナ禍と相まって、明るい展望の見いだせない情況がしばらく続くでしょう。
本書が、その情況を少しでも好転させるためのひとつの希望として、多くの人に受け入れられることを願っています。
加えて、本書同様、大学教育出版より上梓された『農ある世界と地方の眼力』(2018年11月)と『農ある世界と地方の眼力2』(2019年12月)も併せてお読みいただければ幸いです。
と、ここで送信しようとした時、尊敬する野田公夫氏(京都大学名誉教授・近現代日本農業史)から本書謹呈への礼状が届きました。その核心部分を紹介します。
――私にとって本書は、直近の「農業情勢」を学ぶ最良のテキストです。読ませる力も抜群ですしね。かつ、これだけコンスタントに状況整理が継続されると、それ自体が貴重な「時代を示す知的資源」になっていきます。ぜひとも、健筆を継続してほしいと願っています。
他方では、『農業協同組合新聞』がよくぞ掲載し続けているもんだ、とも思います。編集スタッフのなかに「強い期待」が存在するのでしょうが、(忌避する力も強かろうと邪推? もしますので)貴兄とともに本紙の魅力を「際どく」支える「インビジブルなプロモーター(志ある担い手)」を心から応援したい気持ちも強くなりました......機会があれば、よろしくお伝えください。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(167)食料・農業・農村基本計画(9)肥料高騰の長期化懸念2025年11月8日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(84)グルコピラノシル抗生物質【防除学習帖】第323回2025年11月8日 -
農薬の正しい使い方(57)ウイルス病の防除タイミング【今さら聞けない営農情報】第323回2025年11月8日 -
【注意報】冬春トマトなどにコナジラミ類 県西部で多発のおそれ 徳島県2025年11月7日 -
米の民間4万8000t 2か月で昨年分超す2025年11月7日 -
耕地面積423万9000ha 3万3000ha減 農水省2025年11月7日 -
エンで「総合職」「検査官」を公募 農水省2025年11月7日 -
JPIセミナー 農水省「高騰するコスト環境下における食料システム法の実務対応」開催2025年11月7日 -
(460)ローカル食の輸出は何を失うか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年11月7日 -
「秋の味覚。きのこフェア」都内の全農グループ店舗で開催 JA全農2025年11月7日 -
茨城県「いいものいっぱい広場」約200点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月7日 -
除草剤「クロレートS」登録内容変更 エス・ディー・エス バイオテック2025年11月7日 -
TNFDの「壁」を乗り越える 最新動向と支援の実践を紹介 農林中金・農中総研と八千代エンジニヤリングがセミナー2025年11月7日 -
農家から農家へ伝わる土壌保全技術 西アフリカで普及実態を解明 国際農研2025年11月7日 -
濃厚な味わいの「横須賀みかん」など「冬ギフト」受注開始 青木フルーツ2025年11月7日 -
冬春トマトの出荷順調 総出荷量220トンを計画 JAくま2025年11月7日 -
東京都エコ農産物の専門店「トウキョウ エコ マルシェ」赤坂に開設2025年11月7日 -
耕作放棄地で自然栽培米 生産拡大支援でクラファン型寄附受付開始 京都府福知山市2025年11月7日 -
茨城県行方市「全国焼き芋サミット」「焼き芋塾」参加者募集中2025年11月7日 -
ワールドデーリーサミット2025で「最優秀ポスター賞」受賞 雪印メグミルク2025年11月7日


































