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黒塗り!これが本当の「ブラック霞が関」【小松泰信・地方の眼力】2021年5月19日

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「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(日本国憲法15条2項)

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キャリア官僚の魅力激減

4月16日、人事院は、2021年度国家公務員採用総合職試験の申込状況を発表した。

キャリア官僚と呼ばれる総合職の試験申込者数は、院卒者試験が1511人で昨年度に比べ254(14.4%)の減少、大卒程度試験が1万2799人で2166(14.5%)の減少、総合職試験全体では1万4310人で2420人(14.5%)の減少となった。女性の申込者割合は、全体の申込者数の40.3%となり、総合職試験導入以降、初めて4割を超えた。

東京新聞(4月20日付)で、人事院の試験課長補佐・田中正幸氏は「予想外だった」と受け止め、「地方の学生の地元志向が高まったためではないか」と語っている。

当該職は、国の政策立案や実行に深く関わるため、学業に秀でた学生の多くが目指す職業のひとつである。故に、各省庁はそのような学生をひとりでも多く採用したいと考えている。にもかかわらず、志望者が激減しているこの現実を、人事院はじめ関係機関は重く受け止めなければならない。

是正されるべき長時間労働

「優秀な人材が集まらなくなれば、官僚組織は劣化し、政策の立案能力や推進力が低下しかねない。国益に直結する課題として、政府は重く受け止め、有効な手立てを講じる必要がある」とするのは読売新聞(5月10日付)の社説。「長時間労働の是正」を早急に取り組むべき課題にあげ、「業務量に応じて職員を手厚くするなど、弾力的な人事管理が不可欠だ。省庁の垣根を越えた異動も増やしたい。勤務実態を適切に把握し、業務と人員配置の見直しを進めること」を提言する。さらに、国会議員の質問通告が遅いことを問題視し、与野党に「2日前に内容を通告するという原則を順守すべきだ」と訴える。

国家公務員に、魅力的な仕事としての輝きを失わせている、より重大な問題点を他紙が指摘している。

畏縮する官僚

河北新報(5月2日付)の社説は、長時間労働の常態化といった労働環境以上に、「14年の国家公務員法改正」で、内閣人事局が設置され、人事権を握る官邸の力が強まり、官僚の内向き思考が顕著になったことを俎上にあげている。

安倍政権下での、「森友問題」における財務省の公文書改ざん、そして同省職員赤木俊夫氏(享年54)の自殺。「加計学園」問題では、安倍晋三氏の腹心の友への利益誘導と官僚の忖度(そんたく)。現、菅政権下での、菅首相の長男が勤務する「東北新社」による総務省幹部の接待問題と利益誘導。

これらが物語る政官関係のゆがみから、「これまで実質的に政策の企画・立案を担当してきたキャリア官僚らが畏縮している気がしてならない。志望者の先細りは、こうした実情を察してのことだと類推できる」と、核心を突く。

中国新聞(5月16日付)の社説も、内閣人事局の設置を契機として生じた諸問題を指摘したうえで、菅首相が、政権の決めた政策の方向性に反対する省庁の幹部は「異動してもらう」と明言したことを取り上げ、「逆らえば左遷し、尻尾を振れば厚遇する―。これでは、公僕としての倫理や自由な政策論議が失われ、国民のための政治は実現できまい」と、指弾する。

官僚が奉仕するのは国民

東京新聞(4月25日付)で、今の通常国会に提出された法案にミスが続出していることを入口に、「官僚のハードワーク自体は新しい話ではない。彼ら彼女らの士気を引き下げ、内部のチェック機能を狂わせる、何か構造的な問題が起きているはず」と、見立てるのは宇野重規氏(東京大教授)。

「政治の優位」とは、「民主主義の一環として、国民の負託を受けた政党や政治家が、国民の目に見える環境において、政策決定を主導すること」。

「政治家の優位」とは、「政治家が官僚を圧迫したり、逆に官僚が政治家を『忖度』したりすること」。

このように「政治の優位」と「政治家の優位」を峻別し、「政治の優位」を目指した1990年代の政治改革が、「いつか、政治家が人事権をてこに官僚支配を強化し、結果として『政治家の優位』が自己目的化したように思えてならない」と、分析する。

そこから、「大切なのは『官僚が奉仕するのは国民』という原則の再確認である。官僚が政治家に従うのは、その背後に民意がある限りであり、政治家に服従することは自己目的ではない。逆に政策のプロフェッショナルである官僚は、その知識や情報に基づいて、時に政治家の意図と反することを提言することで、むしろ国民の利益を実現することもある」とし、「その能力を国民のために最大限活用できるよう、官僚と政治家の関係を見直す時期に来ている」と、提言する。

「#赤木ファイル」「#黒塗りはダメ」

「僕の雇用主は日本国民」「国家公務員として働けることに誇りを持っています」と、生前語っていたのは赤木俊夫氏。氏によって、公文書改ざんの一連の経緯が記録されたのが、いわゆる「赤木ファイル」。闇に葬られようとしたこのファイルの存在を政府は認め、6月23日に裁判所に提出する。

これを受けて、全国紙と多くの地方紙の社説が、その「全面開示」を訴えた。しかし、国は個人情報を楯に黒塗りに余念がない。確実に、安倍昭恵という四文字は消されるはず。さもなくば、その夫の名前が国会議員の名簿から消えるはず。

NEWSポストセブン(5月14日10時05分配信)で、故人の妻・赤木雅子氏は、「財務省の人は簡単に『黒塗りする』と言いますけど、やらされるのはいつだって現場の人です。夫もそうでした。現場の職員が一番辛いと思います。だから黒塗りなんかせずに、そのまま出してくれたらいいんです」と、第二第三の犠牲者が出ることを危惧する。

そして、「この国に良心があれば、黒塗りなんてしないはず。見捨てられるはずがない。だから思います。『ダメ。ゼッタイ。黒塗りは』という世論が報道によって高まれば、全面開示を勝ち取れるんじゃないかと。『#赤木ファイル』『#黒塗りはダメ』と、皆さんにお願いしたい気持ちでいっぱいです」と、切々と訴える。

人びとのより良き生活の実現に向けて、政策の立案と実行に誠実に向き合う、心ある官僚や国家公務員を守り、育てるために、われわれ国民にできることは、権力を笠に着て、彼ら彼女らを畏縮させる愚劣な政治家どもを国会に送り込まないこと。

「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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