労働者協同組合法の成立と農村女性ワーカーズ報告書【JCA週報】2021年6月21日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 本田栄一 日本生協連代表理事会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「労働者協同組合法の成立と農村女性ワーカーズ報告書」です。
協同組合研究誌「にじ」2021年夏号の巻頭言「オピニオン」には、摂南大学農学部・北川太一教授より寄稿いただきました。
協同組合研究誌「にじ」2021年夏号
オピニオン「労働者協同組合法の成立と農村女性ワーカーズ報告書」
北川 太一
摂南大学農学部教授
協同組合に携わる人たちの願いであった、労働者協同組合法が成立した。ここに改めて、長きにわたって粘り強く法成立のために尽力された方々に、心より敬意を表したい。
労働者協同組合について筆者は浅学非才の身であるが、法成立の報を聞いた時、ある報告書のことが思い出された。それは今からちょうど20年前の2001年、全国農協中央会(JA全中)より出された『JA女性組織の活性化と農村女性ワーカーズ育成の方向』である。これは、JA全中が日本協同組合連携機構の前身である財団法人協同組合経営研究所に委託した調査研究で、研究所にも在籍したことがあり当時は茨城大学で教鞭をとっておられた、河野直践さん(故人)が中心になってまとめられた報告書である。私自身、この調査にはまったく関与していないが、農協の生活活動や女性組織の研究会に参加していた頃であり送っていただいたものと思う。
JA女性組織は、今でもその傾向は続いているが、メンバーの減少が顕著であった。しかしその一方で、生活改善や女性の運営参画にとどまらず、農産物の直売所や加工、高齢者福祉(助け合い)、さらにはこうした活動が農村女性起業として地域の仕事・事業起こしにつながるなど、それまで必ずしも農協によって取り組まれてこなかった領域で、生き生きとした活動が展開し始めていた。報告書では、ワーカーズの考え方や国内外の事例も紹介しながら、女性組織の活動に光を当てて方向性を見そうとしている。
河野さんは、報告書の中で次の点をみんなで確認し合いながら「農村女性ワーカーズをつくろう」と呼び掛けている(以下、報告書20ページをもとに要約)。
・仕事おこしによって所得を得ると同時に、働きがいや生きがい、地域社会への貢献を追求する。
・自主的に作る。
・協同組合原則に準じ、お互いを尊重しながら参加型の運営を行う。
・他のワーカーズやJA、女性部、その他協同組合や協同組織と協力しあう。
農村女性の活動に限らず地域においては、利益追求にとらわれず地元の豊かな有形無形の資源を活用する活動が存在し、そこでは、人間どうしのつながりの原理が尊重されている。協同組合は、こうした地域での活動に向き合い、新しい協同のしくみをつくるためにも、労働者協同組合の考え方を活かすことが重要になるのではないか。
河野さんも、労働者協同組合法の成立を心から喜んでおられることと想う。
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