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(238)虎杖と国語【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2021年7月2日

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週末の散歩の際、川岸に雑然と生い茂る夏草の中で虎杖(イタドリ)の花を見つけました。和歌では夏の季語です。そういえば、わが国の高等学校は2022年度より新学習指導要領になるようです。虎杖の花を見ながらふと国語のことが思い浮かびました。

平成の最後の頃、高等学校の新学習指導要領の国語に関する議論があったことを思い出した。現行学習指導要領は必修の「国語総合」(4単位)の他に、選択科目として2単位の「現代文A」と「古典A」、4単位の「現代文B」と「古典B」、そして国語表現(3単位)がある。例えば、「国語総合」、「現代文B」、「古典B」を履修すると合計12単位になる。

高校1年では「国語総合」が必修であり、以後は学校により変わる。最近の国語教科書を見たことはないが、「国語総合」という以上、内容には一定程度の文学・古典作品が含まれているようだ。

さて、2022年度からの新学習指導要領では、「国語総合」が「現代の国語」(2単位)と「言語文化」(2単位)に分かれ必修となる。簡単に言えば「国語総合」が「現代国語」と「古文・漢文」に分かれたということになる。

選択科目はどうなるか。従来のAとBの区別が無くなり、「論理国語」(4単位)、「国語表現」(4単位)、「文学国語」(4単位)、「古典探求」(4単位)に分かれる。現行学習指導要領と同じ12単位を新課程で学ぶとすれば、「現代の国語」と「言語文化」の他に、8単位を選択科目から選ぶことになる。

仮に「論理国語」と「国語表現」を選んだ場合、文学や古典は高校1年で終わり、となる。また、大学受験との関わりで言えば、共通テストの出題範囲は先述の「現代の国語」と「言語文化」のようである。「現代の国語」は近代以降の文章(論理的な文章、実用的な文章、文学的な文章)であり、「言語文化」では古典(古文・漢文)という。

ところで、一部で議論が生じたのは共通テストではなく、その後の各大学における国語の範囲である。例えば、選択科目によっては文学や古典に親しむ(あるいは苦労しながらでも学ぶ)機会が高校1年までで失われるが、それで本当に大丈夫か...というものだ。

もちろん、好きな学生は「文学国語」や「古典探求」を選ぶだろう。また、大学が二次試験の入試科目でこれらを指定してくる可能性もある。その一方で、文学・古典を高校で体系的に学ぶ機会を高校2年以降は失う選択も存在することになる。

この結果は数年後あるいはさらに先にならなければ明確な形では出てこないであろう。専門家が一定の議論を尽くして決めた話であり、その後、この議論のフォローもしていないが、少しだけ思うことを記しておきたい。

学問が今日のように細分化する以前、大昔の人々は先人の知恵を文学作品や歴史を通じて習得していた。今日でもギリシャ・ローマや中国古典に起源を持つ言い回しや教訓は現実世界の至るところで目にすることができる。受験技術としての文学や古典ではなく、日々の生活の知恵として、いかにもの形で宣伝され、伝えられていることの中にはこうした東西の文学や古典からの引用や焼き直しが相当多い...と言ったら言い過ぎであろうか。

文学や古典はその価値と使い方を習得した人間にはとビジネスだけでなく人生の「宝の山」である。だからこそ欧米の大学の1年生は、専門分野にかかわらずギリシャ神話やシェイクスピアなどを徹底的に読まされる。こうした素養の有無は、最終的には国際交渉などの話術、契約書の作文、新製品の名称における単語の選択などに影響し、一見無関係に思えるところに実はかなり使われている。

高校1年レベルの文学や古典の知識でこれらをうまく伝えていくことがどこまで可能か、生徒もだが現場の先生方はまた新たな苦労が生じるのではないだろうか。

  たたずめるわが足もとの虎杖(いたどり)の花、あきらかに月照りわたる

同じ花を見て素晴らしい和歌を詠む斎藤茂吉と異なり、凡人には気苦労が多い。

*  *

いろいろ調べて見ると、虎杖は「痛みを取る」ということからその名がつけられたという説があり、薬草として、また料理にも使われていたようです。文学や古典と同様、関心を持たず、知らなければ山野や路傍の草の1つです。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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