コロナ対策の体制間格差【森島 賢・正義派の農政論】2021年7月5日
先週、中国共産党の創立100周年祝賀大会が、北京で行われた。TVの画像で、集まった人たちをみたら、誰もマスクをしていない。中国は、コロナを克服したのだろう。
日本や米国は、まだ克服していないし、英国は克服どころか、ガンマ株コロナの蔓延が新しく始まった。
なぜ、中国だけがコロナを克服できたのか。
そこには、国家体制の違いがある。民主主義の格差がある。

上の画像は、中国共産党の創立100周年になる7月1日に、北京の天安門広場で行われた集会の光景である(NHKのHP)。
よく見ると、マスクを着けている人は、誰もいない。隣の人との距離は1m以下である。
この画像は、中国がコロナを克服した証しだろう。
◇
中国のコロナによる死者数を、人口100万人当たりでみると、先月末までの累計人数は、3.3人である(Our World in Data以下同じ)。最近はゼロの日が続いている。日本は桁違いに多く、117人である。
ちなみに、米国をみると、さらに1桁多く、1827人である。
◇
さて、国家の最大の責務は、国民の生命を守ることである。上の死者の数は、3国が、どれほど懸命にこの責務を果たしているか、を示している。この違いは、国民性の問題でもないし、政治指導者の個性の問題でもない。国家体制の問題である。
日本についていえば、コロナによる国民の生命の危機のなかで、五輪を強行しようとする国家体制の問題である。
日本は、コロナ禍を契機にして、国民の生命を軽視する国家体制を変革しなければならない。非常時での国家体制を構築するため、虚心坦懐に中国から学ばねばならない。米国は、反面教師にしかならない。
◇
日本が、中国から学ぶべきことは何か。
何よりも、それは平時とは違う、非常時に即した社会・政治体制の迅速な構築である。それは、自助に依存する体制ではない。共助・公助が一体になった共助の体制である。かりに、私権を制約されても、指揮者の命令に従う体制である。
そして、その根底に真の民主主義がある。
◇
農村共同体では、非常時、たとえば洪水のとき、どのように対処するか。
共同体に属する全員が出動する。そして、各人が持っている能力を最大限に発揮して、防御にあたる。そのさい、各人の能力が高いか低いかは問わない。土嚢積みの能力が高い人は、全力を傾けて土嚢を積む。炊き出しの能力が高い人は、全力で炊き出しをする。そうすれば、共同体の力は最大になる。
これは能力主義でもないし、成果主義でもない。各人が、これまで培ってきた能力を、最大限に発揮する努力をしたかどうか、という努力主義である。
また、所有者が誰の水田でも、無許可でも土嚢を積み上げる。それを拒否すれば、あとで共同体的制裁を受ける。
農村共同体では、こうした体制を構築する準備を、平時から行っている。そして、古くから永続している。
◇
永続できてている理由は何か。それは、共同体の仲間への信頼である。ことに指揮者に対する絶大な信頼である。だから、共同体的制裁を発動することは、ほとんどない。
そして、この理由の根底に、徹底した民主主義がある。このような真の民主主義がなければ、共同体は成り立たない。そしてそれは、いまの日本や米英の「民主主義」からは遠く、協同組合主義に近い。
日本など、他の「民主主義国」が、中国に見習うことは多い。先日の天安門の光景は、そのことを物語っている。
(2021.07.05)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(172)食料・農業・農村基本計画(14)新たなリスクへの対応2025年12月13日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(89)フタルイミド(求電子剤)【防除学習帖】第328回2025年12月13日 -
農薬の正しい使い方(62)除草剤の生態的選択性【今さら聞けない営農情報】第328回2025年12月13日 -
スーパーの米価 前週から14円下がり5kg4321円に 3週ぶりに価格低下2025年12月12日 -
【人事異動】JA全農(2026年2月1日付)2025年12月12日 -
新品種育成と普及 国が主導 法制化を検討2025年12月12日 -
「農作業安全表彰」を新設 農水省2025年12月12日 -
鈴木農相 今年の漢字は「苗」 その心は...2025年12月12日 -
米価急落へ「時限爆弾」 丸山島根県知事が警鐘 「コミットの必要」にも言及2025年12月12日 -
(465)「テロワール」と「テクノワール」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月12日 -
VR体験と牧場の音当てクイズで楽しく学ぶ「ファミマこども食堂」開催 JA全農2025年12月12日 -
いちご生産量日本一 栃木県産「とちあいか」無料試食イベント開催 JA全農とちぎ2025年12月12日 -
「いちごフェア」開催 先着1000人にクーポンをプレゼント JAタウン2025年12月12日 -
生協×JA連携開始「よりよい営農活動」で持続可能な農業を推進2025年12月12日 -
「GREEN×EXPO 2027交通円滑化推進会議」を設置 2027年国際園芸博覧会協会2025年12月12日 -
【組織改定・人事異動】デンカ(1月1日付)2025年12月12日 -
福島県トップブランド米「福、笑い」飲食店タイアップフェア 期間限定で開催中2025年12月12日 -
冬季限定「ふんわり米粉のシュトーレンパウンド」など販売開始 come×come2025年12月12日 -
宮城県酪初 ドローンを活用した暑熱対策事業を実施 デザミス2025年12月12日 -
なら近大農法で栽培「コープの農場のいちご」販売開始 ならコープ2025年12月12日



































