「まちづくり」を仕事に 日本労働者協同組合連合会 田中羊子さん 【わたし発 今 女性が生きる意義と役割】2022年1月28日
「一人は万人のため…」共通の目的のために組合員が結集した協同組合。農協や全国連、研究組織など多彩な活動があるが、その中で女性の存在は欠かせないものになっている。それぞれの分野で活躍している人から寄稿してもらった。
日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会
センター事業団理事長
田中 羊子さん
気候危機の深刻な影響が世界各地に及び、新型コロナウイルスが次々と変異を遂げながら拡散する中で、2022年の幕が開けた。
「人類の多くは現在のように生活を続けられなくなる。21年は、生き残るにはラジカル(根本的)にかじを切る必要があると全世界が認めた年になった。何とか未来を変えようという運動が始まっている。急がないと間に合わない」(『シン・ニホン』著者・安宅和人)。
「資本主義はもうもたないんじゃないか」と普通の人々が言い始めている。コロナ禍で露わになった社会の本質に目を凝らし、あらためて人間とは何か、この危機はどこから来るのか、本当の豊かさとは何か、自分はどう生きるのかを根底から問い直すことが、この時代を生きる私たち一人ひとりに迫られている。
そんな中、2020年12月4日、超党派の議員立法で、全党全会派一致による労働者協同組合法が成立した。「時代が求めた法律」「コロナ禍に産声をあげたのは歴史の必然」との期待が寄せられている。人類史的な危機の時代に、一人ひとりが自らの労働に主権を持ち、協同を大切にする働き方を通じて、こうありたいと願う人と自然、人と人の関係の豊かな社会を、足元の地域から自分たちの手でつくり出したい。社会をつくる市民の主体を生み出す協同労働と労働者協同組合法への社会的期待の高まりに、全力で応えていきたい。
マスコミ報道や各地の法制定フォーラム、学習会を通じて、全国から「協同労働」への関心や設立の相談が相次いでいる。そして今、コロナ禍でこれまでの暮らし方や働き方、社会の在り方に閉塞感や行き詰まりを感じる人々が、さまざまに新たな道を模索し、動き始めている。
・生活の困難や失業に直面して、相談できる居場所や自分を生かせる仕事がほしい。
・こども食堂や居場所づくり、不登校の子どもの学びの場など、子どもたちの未来のための地域づくりを仕事にしたい。
・人生100歳時代、退職後は地域のために働き、つながりをつくりたい。
・ケア労働の価値を高め、利用者や地域のためにこの仕事を充実させたい。
・農業や商売、ものづくりなど価値ある仕事を次の世代に継承したい...。
こうした願いを諦めずに地域で持ちよって、「協同労働」で実らせていくために、全国の仲間が各地で「まちづくり講座」「仕事おこし講座」を開催している。そして出会った受講生同士がお互いの思いを重ね合わせ、一歩を踏み出す中で、見える景色が変わっていく。いくつもの人生の転機が生まれている。
協同労働は、人々の願い(つぶやき)を顕在化させ、形にしていくための社会的装置だ。とりわけ女性たちの力はすごい。地域に必要なことは、お金や力を出し合って自分たちの手でつくり出す。リーダーに頼るのではなく、話し合いを大事にして、違いや弱さを認め合い、お互いの力を生かし合う。そんな協同労働の働き方が、「一人では無理でもみんなとなら実現できる」「動き出せば社会は変えられる」との変化を生んでいく。そして働く組合員にとどまらず、利用者や住民をも元気にして、共に地域づくりに立ち上がる力を生んでいく。
労協法の施行(今年10月1日)に向けて、「地域づくりを仕事にする」この新しい働き方が誰にも生かせるものになったことを、もっと多くの人々に知らせ、「一緒にやろう」と呼びかけ、希望のもてる新しい社会づくりの力にしていきたい。
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