万人のための医療へ【森島 賢・正義派の農政論】2022年2月21日
いまのコロナ対策は、官僚の支配のもとにある。政治は、それを制御できないでいる。コロナ対策の混迷は、医療の中央集権的、官僚的非民主性にある。
これを打破し、万民のための医療へ、民主的に再編しなければならない。その萌芽が、3回目のワクチン接種の過程で見られる。
多くの地方自治体は、政府のくびきを乗り越え、競って国民のためにワクチン接種を急いでいる。その結果、進捗度に差異ができている。この差異には、民主的か否か、の差異がある。これは、つぎの選挙で国民の厳正な審判を受けるだろう。そして、万人のための医療へ近づく。
ここには各地の共同体に対する、そして、協同組合に対する考えの差異がある。
上の図は、今朝の最新の資料による、コロナワクチンの3回目接種の進捗状況を、都道府県別に示したものである。
この図をみると、3回目接種をした人が人口の18%を超えた県がある。その一方で、その半分の9%に達しない県もある。
この差は、何に原因するか。
◇
この原因の一部が、人為では如何ともできない自然的原因にあることを否定はしない。だが、人為による大きな社会的原因がある。
政治は、この社会的原因を明らかにして、災禍を最小にする対策を実施する責任がある。
この責任は、中央政府が負うべきものである。なぜなら、対策を実施するための権限と財源は、中央政府が握っているからである。
だからといって、都道府県の地方政府は、中央政府に従っていればいい、というものではない。そんなことなら、地方政府は要らない。中央政府が地方に出先機関を作ればいい。
◇
地方政府には、地方政府の役割りがあり、責任がある。そして政策がある。時には中央政府の政策と矛盾することがある。
上の図は、コロナの蔓延という国家的危機の中で、この矛盾が露呈していることを示している。
地方政府は、なるべく早くワクチンを接種したい、と考えている。しかし、中央政府はそのように考えていない。
なぜ、そう考えるのか。そう考えないのか。
◇
政府は、ワクチンが国内に僅かしかないことを隠そうとしている。早く接種して、ワクチンが国内に無くなってしまうことを懼れている。うなれば、コロナに立ち向かう手段がなくなる。ただ、耐え忍ぶしかなくなる。そうして、ワクチンを供給できない責任を、厳しく非難されるからである。
それなら、ワクチンの輸入に全力を注げばいいのだが、そうしない。国内で作ればいいのだが、そのための努力を、これまで怠ってきた。今からでは遅い。だから、それは絶望的である。
◇
このため、政府は姑息なことを考えている。
政府は、姑息な手段として、2回目の接種から6か月経たない人には接種しないことにしている。(当初は8か月だった。)
また、姑息な手段として、基幹労働者や病弱者だけに先行して接種するという口実で、他の大多数の人の接種を、後回しにしている。
そして、これらについて政府は、地方政府に対して、些細なことにまで強力な官僚的統制を加え、励行を迫っている。権限と財源を持っているから、それができる。
◇
こうした姑息な対策の結果、全国の各地では、家庭内に閉じ込められ、医療を受けられずに死を迎える人が続出している。
そこには、脆弱な検査体制による検査の遅れ。それによる治療薬の投与の遅れ。それによる重症化という原因が加わっている。
◇
現場でそれを見ている地方自治体の一部は、ワクチンを接種していれば、こうした事態にならなかったろう、と考えている。中央政府の考えに従っていたのでは、この危機を乗り切れない、と考えている。
もちろん、その背景には国民の、中央政府に対する、厳しい批判があるだろう。国民の、地方政府に対する、熱烈な支持があるだろう。
その濃淡を、上の図は表している。
(2022.02.21)
(前回 コロナ無策)
(前々回 岸田内閣に太郎がいない)
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