【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】残念ながら、附帯決議は「成果」ではない2022年4月14日
最近も、附帯決議を入れさせたのが「成果」だという指摘があったが、附帯決議に時間を費やす意味をもう一度精査したほうがよいと思われる。
以前も、あるセミナーで種子法の廃止法への附帯決議について「今後も都道府県に対して予算を確保し、種子が海外に流出したり、特定企業に独占されたりすることのないようにするとの附帯決議がなされたから懸念は払拭されたのではないか」という質問を受けた。筆者は「残念ながら附帯決議に実効性はない」「附帯決議は気休めにもならない」「むしろ、実際にはそうはしないということを示している」と答えた。
附帯決議とは、法律に対する懸念事項に一応配慮したというポーズ、反対の立場で頑張ったよというアリバイづくりである。参議院の公式ホームページでも「附帯決議には政治的効果があるのみで法的効力はありません」と明記されている。
「政治的効果」とは、賛成側としては、「一定の配慮をした」ことを示し、反対した側には、法案は通ってしまったけど「頑張ったよ」というアリバイづくり、応援者への「ガス抜き」になりかねない。
危険なのは、与野党がバトルを繰り広げて互いに頑張って、壮絶な闘いの末に一定の成果をあげたというパフォーマンスづくりになり、「手打ちにする」儀式に使われることである。
ややもすると、法案の廃案や修正は最初から諦めて、附帯決議を入れるために膨大なエネルギーと時間が費やされて、成果が強調されることになる。これは、いかに徒労なのかということを有権者が理解することが重要である。
けっして、附帯決議を入れることを目的化させてはならない。附帯決議が「むしろ、実際にはそうはしないということの証左」と言ったのはそういう意味である。だめなものはだめなのであって、徹底的に最後まで闘う姿勢を忘れたら反対する意味はない。
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