米型の自由と民主主義の落日【森島 賢・正義派の農政論】2022年6月6日
ウクライナ紛争は、誰がみても米欧と中露の争いである。ウクライナ軍が使っている武器・弾薬は、米欧から与えられたものだし、中国は、露国側に立っている。
米欧側は、米型の自由と民主主義を世界に広めることが正義だ、といっているが、それ程のものではない。中露包囲網を作って世界から孤立させ、その後に吸収して、搾取を世界に広めたいだけだ。
だが、これは歴史の潮流に逆らっている。
上の図は、世界の主要国のGDP(国内総生産)が、2050年にどうなるか、を予測したものである。
2050年は、それほど遠い未来ではない。いま新しく社会に出た若者が、働き盛りの50歳になる年である。
この予測によれば、米欧のDGPが伸び悩むなかで、2050年には中国のGDPは、世界のダントツの第1位になるという。
インドの躍進も目ざましく、米国を超えて第2位になるという。
その一方で、米欧の経済は衰退する過程にある。このことは、米欧が歴史のなかで落日を迎え、やがて歴史から退場することを意味している。
日本も、第7位に転落するという。
ウクライナ紛争以前の予測だが、この歴史の潮流は変わらないだろう。
◇
さて、この経済力の順位は、軍事力の強さの順位とみていい。
歴史の潮流をみると、一時的な、そして局地的な例外はあるが、歴史は経済力の強い方向へ流れている。必ずしも、いわゆる正義といわれる方向ではない。
歴史から去ろうとしている国が、正義を声高に唱えるのは、「曳かれ者の小唄」なのである。
◇
このことを如実に表しているのが、上の図である。
いま米欧は、落日のさなかにあって、醜くあがいている。そして、ウクライナをそそのかし、武器と弾薬を与えて争わせている。
これは米欧の、まさしく戦争行為である。ウクライナ軍は、米欧から武器・弾薬の補給を絶たれたら、数日後には降参するしかないだろう。
◇
ウクライナの後に米欧が狙っているのは、インドである。
だが、インドは米欧とは根本的に違っていて、れっきとした社会主義国である。インドは憲法の前文で、社会主義国と規定している。
落日のさなかにあって、米欧の悩みは深い。
◇
つぎに東方から昇ってくる輝かしい太陽は何か。それは米型の自由と民主主義ではない。つまり、私的な利益を最上位におき、搾取を是認する経済体制ではないし、社会哲学ではない。
それは、共同体を構成する全員の利益を最上位におく、搾取のない社会、つまり、経済学で厳密に定義されている意味での搾取を否認する社会哲学である。
協同組合主義は、そのなかの一部である。
◇
日本は、この歴史の岐路にあって、どの道を進むのか。それがいま、各政党に厳しく問われている。
国民の声を組織して政治の力にすべき政党の、ほとんど全ては、落日の残光のなかで、沈みゆく米型の自由と民主主義にしがみついている。
参院選は近い。
(2022.06.06)
(前回 農政のコペルニクス的転回を)
(前々回 中露は旗幟を鮮明にせよ)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日