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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】緊急財政出動と「食料安全保障推進法」の制定を2022年9月1日

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種の安全保障の危機、世界の飢餓の3割が日本に集中する衝撃の試算に、畜産大手の倒産もあり、乳雄子牛の価格が昨年の5万円から100円まで暴落、売れない子牛は薬殺との情報も。副産物収入も激減して酪農家に追い打ちをかけている。農家さん、踏ん張って下さい。政府はここで動かずしてどうするのか。

種の安全保障を重視する中国

食は命の源、その源は種。コロナ禍、ロシアによるウクライナのシードバンク爆破などで、種の海外依存リスク、種を公共的に守ることの安全保障上の重要性もクローズアップされている。

米中対立が深まる中、中国が今取り組んでいるのは食料自給で、カギを握るのは種だとTBSテレビが報じた。中国の食料自給率は93.6%(2000年)から65.8%(2020年)まで低下し、特に大豆の自給率は17%。かつ、野菜のタネは90%以上輸入している。米国などがタネや食料の輸出を止めてしまったら・・・との懸念は現実のものとして中国では受け止められている。

習近平国家主席は「種は我が国の食料安全保障のカギだ。自分の手で種を握ってこそ、中国の食料事情を安定させることができる」と述べている。中国の国家戦略は「すべてを国内で完結させ、国際情勢に左右されない国づくりを目指す」ことだと報じた(注1)。

民間への種の知見提供が進む日本

かたや、中国同様に90%の野菜の種を海外に依存する日本は、日本の種を守るとして、主要穀物の公共種子の開発・提供事業を民間に移行し、公共的に開発した種の知見も譲渡し、農家の自家採種を制限し、種は買わねばならぬ方向に舵を切った。

「日本のタネを守る会」の質問に対する農水省の回答では、農業競争力強化支援法に基づき都道府県が提供した種苗の知見は42都道府県で計420件(法施行後から令和2年9月末時点までの累計)、農研機構のそれは令和2年度で1,980件となっている。

海外採種が90%になっている野菜の現状がコメにも進んでいくと最悪の事態では、コメの自給率も10%程度になりかねない。中国とは真逆の方向性が日本の種の安全保障につながるとは思えない。

「核の冬」の物流停止による餓死者は日本に集中

さらには、米国ラトガース大学らの核戦争に関する衝撃的な研究成果を朝日新聞が報じた(下記画像参照)。15キロトンの核兵器100発が使用され、500万トンの粉塵が発生する核戦争が勃発した場合、直接的な被爆による死者は2,700万人だが、「核の冬」による食料生産の減少と物流停止による2年後の餓死者は、食料自給率の低い日本に集中し、世界全体で2.55億人の餓死者の約3割の7,200万人が日本の餓死者(日本人口の6割)と推定した。

実際、38%という自給率に種と肥料の海外依存度を考慮したら日本の自給率は今でも数%なのである。だから、核被爆でなく、物流停止が日本を直撃し、餓死者が世界の3割にも及び、米露の核戦争の場合は日本人は全て餓死するという数値は大袈裟ではない。筆者が警鐘を鳴らしてきた意味が如実に試算されている。

核戦争による犠牲者の試算(注2)

早急に法整備して数兆円規模の財政出動を

だから、今こそ、全力で国内生産振興のはずなのに、コメつくるな、転作作物の補助金もカットする、牛乳搾るな、エサも肥料も2倍になって赤字が膨らんでも需給が緩んでいるから農産物価格は上げれない、と言っていることの異常さが際立つ。

小手先の断片的対策では間に合わない。農水省も、食生活をコメ中心に変えることで63%まで自給率を上げられると「平成18年度食料自給率レポート」で試算している。こうした試算も参考にして、世界一飢餓に脆弱な国である現実を直視し、超党派の議員立法として提案される予定の「地域のタネからつくる循環型食料自給(ローカルフード)法」に加えて、生産者、消費者、関連産業など国民の役割と政府の役割を明記した「食料安全保障推進法」を早急に制定し、数兆円規模の予算措置を発動すべきときではないたろうか。

緊急事態が進行している。畜産大手の倒産もあり、ホルスタインの雄子牛の価格が昨年の5万円から100円まで暴落、売れない子牛は薬殺との情報も入ってきた。副産物収入も激減して酪農家に追い打ちをかけている。農家さんには何とか踏ん張ってもらい、政府は一刻も早く動いてもらいたい。

注1 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/133713?display=1
注2 https://www.asahi.com/articles/ASQ8N5J2HQ8MPLBJ002.html

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