政党は政治論の土台を示せ【森島 賢・正義派の農政論】2023年3月27日
春の統一地方選が始まった。地方選とはいえ、日本の政治へ及ぼす影響は大きい。だから、各政党は日本の社会をどの方向へ向けるべきか、を示さねばならない。
だがしかし、国会の議論を聞いていると、政治家の不祥事を暴くことや、子育て支援をどうするか、という議論に明け暮れている。
政治家の不祥事はどうでもいい、というわけではない。だが、ここから出てくるのは、清廉潔白な政治家を選べばいい、というだけである。その間に、軍事予算を大幅に増額し、軍国化を進め、日本の平和主義が危殆に瀕していることを議論しない。
子育て支援はどうでもいい、というわけではない。その原因になっている、日本社会を覆う深刻な格差を、真正面から取り上げて議論することをしない。
これでは、選びようがない。政治を託すことは出来ない。国民は、絶望するしかない。

上の表は、主な政党の綱領と、綱領的文書から引用して、各政党が目指している日本政治の方向、したがって日本社会が向かうべき方向を、ひと言で表したものである。
共産を除いて、他は何を目指す政党なのか、さっぱり分からない。
ウクライナをめぐって、世界が激動している中で、各政党は、日本をどの方向へ向けて進めようというのか。軍国化を進めるのか、平和主義を今後も続けるのか、全く理解できない。
また、格差社会を放置し温存するというのか、それとも、どう改革しようというのか、全く分からない。
ここには、政治論の度し難い貧困がある。これでは、政治は混迷すばかりである。
◇
このように、多くの政党は、政治の表層に漂い泡立っている現象を論ずるだけである。それをもたらす政治論を土台から論じていない。論ずるほどの政治論がないのだろう。
これでは、いまの政治を根本から揺るがすことはできない。表面だけ取りつくろうことしかできない。
それは、与党にとって好都合である。自民の一強政治を延々と続けることができる。そして、格差拡大と軍国化が止めどもなく続く。
◇
この責任は、それを止められない野党にある。与党の政治を土台から批判しない野党にある。そうすることで野党は、与党の政治を続けさせることに加担している。
これでは、弛緩した一強政治が延々と続く。
野党は、こうして惰眠を貪っているときではない。野党よ、目覚めよ。そうして与党を震撼させよ。
野党は、迫り来る統一地方選を、その絶好の機会にせよ。
◇
最後に私見を1つ言っておこう。
政治論は、どんな社会を目指すか。ここに論点の土台がある。
社会の土台は、生産過程にある。その生産過程を、どのように改革し構成するか、が政治論の土台に据えるべき論点である。
そして、社会の土台は、生産手段を私人が圧倒的に支配するか、それとも、協同体が支配するかである。
前者が資本主義であり、その現代版が市場原理主義である。後者の原型は農協である。
◇
もう1つ、続けよう。
こうした政治論の土台の議論が行われれば、子育て支援などという、その場しのぎの矮小な議論は吹っ飛ぶだろう。
それに代わり、生産過程にまで遡って、不正規労働による生産の禁止、という強烈な罰則を伴う法的禁止と、最低賃金の抜本的な増額という議論にすすんでいくだろう。その結果が、子育て支援の強化になるだろう。
政党の責任は、こうした政治論を国民とともに議論し、国民とともに磨き上げて、政治の力にすることである。そうして、その政治を実現することである。
それは、野党が主導して、与党を巻き込み、淀んだ日本の政治を活性化するだろう。
(2023.03.27)
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(前々回 プーチンもゼレンスキーも80%超の支持率)
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