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焦らず挫けず民主主義【小松泰信・地方の眼力】2023年4月19日

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4月15日午前、木村隆二容疑者(24)は岸田文雄首相めがけて爆発物を投げ込んだ。すべてのメディアは、「民主主義の根幹である選挙期間中に言論を暴力で封じようとする行為であり、断じて許されない」と、激しく非難している。

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木村容疑者の主張要旨から見えるもの

容疑者の行為そのものが許されないことは百も承知している。しかし容疑者が、2022年7月の参院選に立候補できないのは憲法違反だとして、国に損害賠償を求めて訴訟を神戸地裁に起こした際の主張要旨からは、彼が民主主義を希求していることが伝わってくる。注目すべきは次の3点。

(1)訴訟を通じ、被選挙権年齢の成年年齢への引き下げ、供託金制度の廃止、議会制民主主義の維持を求める。

国会は公選法を改正して被選挙権年齢を引き下げ、供託金制度を廃止することが必要不可欠なのに正当な理由なく、長期にわたり立法措置を怠った。国会の立法不作為は、成年の選挙権や、立候補の自由などを保障し、財産や収入による差別を禁じる「平等原則」を定める憲法に違反し、国家賠償法に基づき慰謝料10万円を支払うべきだ。

(2)岸田内閣は故安倍晋三(元首相)の国葬を世論の反対多数の中で議会での審理を経ずに閣議決定のみで強行した。このような民主主義への挑戦は許されるべきではない。

(3)故安倍晋三のような既存政治家が、政治家であり続けられたのは、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)のようなカルト団体、組織票を持つ団体と癒着していたからだ。普通選挙を行っていれば適当な候補者が立候補できるから投票率は上がり、組織票の割合は下がり、特定団体と癒着した候補者は少なくなり、議会制民主主義は保たれる。

いかがであろうか。犯した罪からこれらの指摘を切り離し、冷静に向き合うことが「民主主義」のためには必要であろう。

不受理見越して立候補届

南日本新聞(3月31日付)は、3月31日告示の鹿児島県議選鹿児島市・鹿児島郡区に、鹿児島大学水産学部3年の中村涼夏(すずか)氏(21)が、被選挙権年齢には満たないが「若者の声が政治に届いていない」と不受理を見越して立候補することを伝えた。ちなみに、公選法は被選挙権年齢を衆院議員や市町村長、都道府県議で25歳以上、参院議員や知事で30歳以上と定めている。

中村氏は、高校3年時に環境保護活動を始め、2021年4月、衆院環境委員会に参考人として出席。22年11月にはエジプトで開かれた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の会場を訪れ、同世代と抗議活動をするなどの経験から、「若い世代の意見を反映させるためには自分たちが立候補しないといけない。25歳からでは遅い」と訴えている。

共同通信(3月23日)によれば、神奈川県知事選で、公選法が定める30歳以上の被選挙権年齢を満たさない若者の政治参加を促す団体の代表理事能條桃子氏(25)が、立候補に必要な書類を県選挙管理委員会へ提出したが、被選挙権年齢を理由に受理されなかったことを伝えている。これを受け、選挙権を認める18歳以上との間に差があるのは不合理だとして、国を相手取り集団訴訟を起こす方針を示した。

大学生の苦労を伝えたい

統一地方選前半戦で、地盤も、政党の後ろ盾も、資金もなく臨んだ20代の候補者を取り上げたのは東京新聞(4月14日付夕刊)。自ら政治団体「学生党」を立ち上げて立候補したのは中京大学4年の西田礼孝(ひろたか)氏(25)。落選したものの、1,401票を獲得し供託金(50万円)の没収は免れた。

「大学生の苦労を伝えたいとの純粋な思いから。周囲にはバイトで生活費を稼ぎ、奨学金を借りる人も多い。物価高の影響で、学生の貧困は深刻になったと感じ、学費無償化などを実現したかった」のが立候補の理由。

ビラ配りなどを手伝い、立会人として開票所で結果を見届けた西垣文昌(ふみあき)氏(24)は、「どさっと積まれた票の束を見て、『こんなにたくさんの人が投票してくれた』と思い、じーんときた」そうだ。

西田氏は「若者だけでなく、サラリーマンも年配の人たちも応援してくれた」ことなどに手応えを感じ、「選挙の堅苦しいイメージにとらわれず、若者もどんどん選挙に出れば良い」と、立候補を勧める。その一方で、重くのしかかった供託金などのルールや見直しの必要性を指摘している。

悲劇は政治の不作為が引き起こす

神戸新聞(4月14日付)の社説は、統一地方選前半戦で、全国的に女性議員が増加傾向であったものの、「わずか1割台にとどまる。世界的にも見劣りしたままだ。有権者の半数を占める女性が、結果的に地方政治から排除されている。現状を放置してはならない」と危機感を募らせる。

そして、「地域社会を取り巻く状況が厳しさを増す中、身近な課題をすくい上げ、解決策を探るには、多様な視点で議論を積み重ねることが肝要」であるため、「議会の男性偏重を是正し、女性や若者、子育て世代などさまざまなバックグラウンドがある人材の参画を進める必要がある」として、「国は思い切った政策の導入にかじを切るべきだ」と訴える。

市民タイムス(長野県松本市・4月19日付)には、長野県大桑村(人口3,358人)村議選(定数10)において、定数割れで無投票ではあったが、新人の戸前寿乃(とまえよしの)氏(35)と纐纈悠乃(こうけつひろの)氏(39)の若手女性議員が当選し、女性村議が9人中4人となることを伝えている。

夫の出身地に移り住んだ経緯などから、両氏は親交があり、3月に政治団体「大桑ミライテラス」を設立し、選挙の準備も協力しあって進めたとのこと。

「経験を生かして課題に取り組み、地域に恩返しをしたい」と語るのは、木曽広域連合職員だった戸前氏。

子育て世代の目線を生かして「住んでよかったと思える村づくりの力になれれば」と語るのは纐纈氏。

ふたりによるYouTube動画からは、村に溶け込みながら少しずつ住みやすい地域にしていこうとする、ホンワカとした姿勢が伝わってくる。

不受理となることが分かっていても立候補届を出し、人びとに問題を提起する若者や、供託金没収におびえながらも選挙に出る若者。みな爆発したい気持ちを抑えながら、ルールに従いもがいている。

政治家が、これらの動きが突き付けるものに誠実に向き合わない限り、悲劇は繰り返す。

「地方の眼力」なめんなよ

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