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「聞く力」無き者に届かぬ民意【小松泰信・地方の眼力】2023年10月25日

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「与野党の一騎打ちとなった衆参二つの補欠選挙は、自民党の1勝1敗に終わった」で始まる朝日新聞(10月23日付)の社説の見出しは、「首相への厳しい民意」。残念ながら、この国の政権に「民意」は伝わらない。

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辺野古代執行が教える民意無視

10月4日、沖縄県のアメリカ軍普天間基地の移設先となっている名護市辺野古での軟弱地盤の改良工事について、玉城デニー知事は、国が承認するよう「指示」した期限となっていた4日までに承認するのは困難だと国に回答した。これを受け、斉藤鉄夫国土交通相は玉城知事に代わって承認する「代執行」に向け、福岡高裁那覇支部に提訴した。

新潟日報(10月12日付)の社説は、「知事が承認困難とした背景には、民意の重みがある」とする。「民意」とは、2019年の県民投票で移設予定地の埋め立てに7割が反対したことや、知事自身が移設反対を公約に昨年再選されたことを指している。

「国の強硬姿勢は、民意との溝をさらに深める懸念がある」ことから、「代執行は、地方自治を軽視することにならないか、国は慎重に考えてもらいたい」と訴える。そして、代執行の前提となる最高裁判決には、行政法の研究者ら100人超が「不合理極まりない」とする声明を公表したことから、「政府は手続きを止め、県と改めて話し合うべきだ」とし、「沖縄の民意を踏みにじってはならない」とする。

「代執行とは平たく言えば、国が埋め立てを申請し、知事から承認の権限を奪い取って自ら承認し、7割もの県民が反対の意思表示をしているにもかかわらず強制的に基地を建設することに他ならない」と記す沖縄タイムス(10月20日付)の社説は、「公益」の判断を争点のひとつに上げる。

国にとっての「公益」は「安全保障」、県にとっての「公益」は「新基地建設反対を訴える民意」とした上で、「2000年の地方分権改革で、国と地方自治体との関係は『対等・協力』であり、上位・下位はないと位置付けられた。県が訴える『県の公益(新基地反対の民意)』を力でねじ伏せ、代執行によって自らの公益を優先させようとする国の行為は、看過できるものではない」と指弾する。

そして、「知事が対話による解決を求めてもそれに応じず代執行を強行するのは、沖縄に対する構造的差別の固定化につながりかねない」として、「沖縄の現実に向き合い、沖縄の声をすくい取る実質審理」を最高裁に求めている。

オスプレイが教える民意無視

「陸上自衛隊の垂直離着陸輸送機V22オスプレイが新石垣空港に着陸し、訓練を実施した。沖縄への陸自オスプレイ飛来は初めてで、県の2度にわたる新石垣空港の使用自粛要請を無視し着陸を強行した」で始まるのは、琉球新報(10月22日付)の社説。

自衛隊と米軍の車両が公道を使って、火薬類の搭載を示す「火」の表示を掲げたコンテナを輸送するなど、民間地での軍事訓練が拡大していることにも言及し、「沖縄が戦場になることが前提で、非常に危険な動きだ」と危機感を募らせ、「日米政府は訓練を直ちにやめ、沖縄を戦場にしない努力を尽くすべきだ」とする。

「空飛ぶ恥」「未亡人製造機」と呼ばれるオスプレイは、墜落をはじめ緊急着陸などのトラブルが後を絶たず、陸自オスプレイが石垣島に飛来した19日にも、普天間飛行場所属のオスプレイが徳之島空港に緊急着陸している。「沖縄を戦場と見立て、戦争に備えるための訓練」ゆえに、県民の不安は計り知れない。「日米合同訓練の激化は中国などを刺激し沖縄住民を守るどころか、むしろ緊張を高める」として、同紙もまた「日米政府は軍事演習ではなく対話や外交による紛争の火種の除去に注力すべきだ」とする。

米軍犯罪が教える民意無視

今年5月、女性に押し倒すなどの暴行を加えてけがを負わせたとして、沖縄県警は6月、米軍キャンプ・シュワブ所属の米兵を強制わいせつ致傷容疑で那覇地検に書類送検。那覇区検が傷害罪で略式起訴。加害者の米兵が那覇簡易裁判所から罰金の略式命令を受けたことを取り上げているのは、琉球新報(10月20日付)の社説。

米兵が女性にけがを負わせた後、基地内に逃走していることから、罪を犯した米兵に特権を与え、米軍犯罪の温床となっている「日米地位協定の弊害」と告発する。

この事件について松野博一官房長官が「個別事件における検察当局の事件処理について政府として所感を述べることは差し控えたい」と述べるとともに、「当局においては具体の事実に即して法と証拠に基づき、適切に捜査を行っているものと承知している」と答えたことから、「米軍犯罪に対する県民の不安や憤りとかけ離れている」と怒りを隠さない。

沖縄県警のまとめでは、今年8月末現在の米軍構成員などの刑法犯摘発件数(暫定値)は51件で、昨年同期比で16件の増加。摘発者数は39人で14人増えている。さらに10月15日には、嘉手納基地所属の米兵3人が那覇市の県立首里高校の建物内に侵入したとして、建造物侵入容疑で那覇署に逮捕されている。

「米軍基地の整理縮小と兵員削減、日米地位協定の改正」を米軍事件の抜本的防止策とした上で、「基地あるゆえの人権侵害を止めるため、日本政府は米側と協議を急ぐべきだ」とする。

所信表明演説が教える民意無視

10月23日臨時国会が始まった。岸田文雄首相は所信表明演説で「『経済、経済、経済』、私は、何よりも経済に重点を置いていきます」と「経済」を連呼。農業に言及したのは、「経済」に関したところではなく、「地方創生」の中で。

そこで語ったのは、「持続的な食料の安定供給に向け、食料安全保障の強化、農業のスマート化・グリーン化の推進を図ります。あわせて、(中略)農林水産物・食品の輸出促進に強力に取り組みます。農政の基本は現場にあります。今後も各地域に寄り添い、現場の方々の想いを受け止めながら、農政を転換し、実践的な支援を行ってまいります」だけ。

日本農業新聞(10月24日付)の論説に、「来年の通常国会で『農政の憲法』とされる基本法改正を目指しながら、国民の命を支える農政に対する言及の乏しさは拍子抜けだ」と書かれる始末。今国会が基本法改正前の大事な議論の場となるため、「これまでの農政を総点検し、新たな農政像を描く骨太の議論を期待したい」とするが、その期待は絶対に裏切られる。

「人口減少や過疎化などに悩む中でも、多くの方が、それぞれの現場で明日に向かって懸命に努力されています。皆さん、政治の役割とは、そういう現場の方々を全力で支えることにあるのではないでしょうか。地方こそ日本の宝、底力です」と、「聞く力」も「聞く気」もない岸田氏の口から出た甘言につられてはならない。そのことを、沖縄を巡る事件の数々が教えてくれている。

「地方の眼力」なめんなよ

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