シンとんぼ(81)食の安全とは(39)食品添加物2024年2月17日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回から内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査結果をもとに、食の安全に対する意識の変化を探っている。調査には15個(2022年度)の“食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)”があり、モニターの方がハザードごとに不安を感じるかどうかを調査した結果が示されており、前回からハザードごとの意識の変化を探っている。今回は、2004年の調査で7番目に多かった「食品添加物」だ。このハザードにとても不安を感じるモニターの割合は、2004年24.6%であったものが、3年後の2007年には21.9%と若干減少し、さらに5年後の2012年には11.9%、2017年に7.4%、直近の2022年でも9%と、ここ10年以上1割弱程度であり減少傾向にある。
2004年頃というのは、いわゆるヌードル系をはじめとしたインスタント食品が世にあふれはじめ、品質を長持ちさせるための防腐剤等の添加物が何かと悪玉視されていた頃だ。一般的に、「食品添加物=原料にはない得体のしれないもの=食品を腐らないようにする=菌とか虫に影響があるなら人間の体にも良くない=人間の体にとって危険なもの」とでもいう考えが蔓延っており、盛んに「食べてはいけない〇〇」といった不安をあおる書籍が部数を伸ばしていた記憶がある。ここでも消費者心理は、「目に見えないもの、よく知らないものへの恐怖心」に支配されており、その恐怖心をあおる情報には敏感に反応してしまうのは無理もないことだろう。
現代のように情報が溢れている世の中では、正しい情報よりも正しくない情報の方が過多の場合も多く、ために正しくない情報や憶測情報の方が正しいような錯覚に陥りやすく、全く知識の無い人が正しい情報にたどり着くのは難しいようだ。また、正しい情報にたどり着いたとしても、それが少数派であれば正しくないように錯覚してしまうことも多いだろう。冷静に考えれば分かるとはいうが、それはある程度知識がある人のセリフであって、全く知識がない場合は正しい情報にたどりつくのも一苦労、あるいは、たどり着けないこともあるというのが情報化社会の真相ではなかろうか。そんな中であっても、正しい情報は発信続けなければいつまでたっても伝わらないので、正しい情報を発信すべき立場の人々(公的機関? 業界?)にはひるまずに大いに頑張ってほしいものである。
「食品添加物」を不安に感じる割合が減少しているのは、正しい情報が流されることが多くなり、徐々にではあるが正しく理解する人の割合が増えた結果だと思うので、やはり正しい情報の発信を継続することが大事だなとシンとんぼは思う。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日