【JCA週報】2010年のJAが危ない、将来方向は#3 (坂野百合勝) (2002)2024年4月22日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身である協同組合経営研究所が発行した「協同組合経営研究月報」2002年7月号に、坂野百合勝氏が執筆された「2010年のJAが危ない、将来方向は」です。
ボリュームの関係から複数回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。
2010年のJAが危ない、将来方向は#3/全7回(2002)
坂野百合勝(全国農協役職員共済会・常務理事)(当時)
(連載21世紀における協同組合の意義と課題 第2回)
はじめに (#1)
10年後のJAが危ないー経営基盤を揺るがす世代交替一
1.右肩下がりの環境下で経営力低下 (#1)
2.世代交替がもたらす深刻な影響 (#2)
3.経営基盤を揺るがす資本力の低下 (#3)
4.伸び率低下の事業伸長率 (#4)
5.進む正組合員の勢力縮小 (#4)
6.組合員の参加・参加力の低下 (#5)
7.次々に発生する不良資産 (#5)
8.高コストで競争力低下 (#5)
10年後も活力ある組織で発展し続けるために (#6)
JAの将来像と課題 (#7)
10年後のJAが危ないー経営基盤を揺るがす世代交替一(続き)
3.経営基盤を揺るがす資本力の低下
自己資本比率8%退職金積立100%を維持できないJAは信頼されなくなったし,事業活動が困難な情勢となってきた。ところが組合員の世代交替によって,出資金の維持も難しくなってきている。
あるJAを事例に考えてみよう。都市化地域から山間地域まで包含した広域合併JAであるが,組合員17,257人で,そのうち60歳以上が42.4%,70歳以上が33.8%を占めている。そして,出資金は組合員の60歳以上で68%(112億2,777万6千円),71歳以上43.4%(7億1,049万1千円)を担っている<表ー1参照>。
5年,10年と時が経過すれば,60歳,70歳の組合員は自ずと加齢して必然的にリタイヤーしていくのであるが,問題は,そのときに出資金を正組合員を継承してくれる息子に全額移譲してくれるかどうかである。継承者がいなければ全額引き出されてしまうが,このような組合員も中山間地帯では年々増えてきている。また継承者がいる場合でも,高齢組合員が老後の生活費であるとか,百姓の退職金だと位置付けてそっくり引き出すケースも多くなってきている。
息子には必ずしも移譲しないのである。この場合正組合員を継承しようとしてくれている息子は,銀行から預金を下ろして出資することになるのであるが,その場合ほとんどが減資になる。父親が例えば100万円出資していたとすれば,せいぜい20万円程度になってしまうケースが多い。このように高額出資者であった高齢組合員が次々にリタイヤーしていくと出資金の維持,確保に深刻な事態が起こってくる。流出した出資金の補充を顧客化した組合員や,准組合員に増資の形で要請しても容易に補充できる金額ではない。
顧客満足経営路線を突き進んで,所有と経営と事業活用者を分断してきた運営方式の落とし穴が,今になって見えてきたのであるが,時すでに遅い状況でもある。JAが誰のための,何をする組織なのか改めて問われている。このことの点検と解決策を講じなければ,JAの資本力は年々低下していき必要とする自己資本比率も維持できなくなって,経営基盤が根底から崩され,事業活動停止の事態にもなりかねない。
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