シンとんぼ(98) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(8)-2024年6月15日
シンとんぼは令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、みどり戦略の大義である「安全な食糧を安定的に確保する」を実現するために、現場は何をすべきなのかを、同戦略のKPIとその有効性や今後の農業に与える影響などをひととおり検証しながら考察を加えてきた。そして行きついたシンとんぼなりの結論が、現在ある技術を正しく活用すれば、新たな技術開発やイノベーションを待たずとも、みどり戦略の大義は達成可能だろうということだった。そこで、みどり戦略対応のために農業現場はどう動くべきなのかの持論を展開しており、現在は有機農業の取組面積拡大をテーマに、有機農業拡大に関するKPIを実現するための「次世代有機農業に関する技術を検証している。
今回は、2030~2040年までに確立するとしている技術の1つである⑥AI等を活用した土壌病害発病ポテンシャルの診断技術について検証してみようと思う。
この技術は、有機農業拡大の工程表の中に示されているが、開発する技術内容紹介では化学農薬削減技術の中で紹介されている。
この技術の文字面を素直に受け取れば、「AIを活用すれば、各圃場の土壌ごとに土壌病害の発病の可能性がわかり、圃場ごとに防除するべきか、防除しなくても大丈夫かがわかる」ことになる。圃場ごとに防除が必要かどうかを判断できれば、防除が不要な圃場には土壌消毒剤などの防除が不要になり、無駄な防除が不要になるのは間違いない。
ただ、紹介されている技術を確認したところ、AIソフトに診断させるためには、土壌病原菌の土壌中の菌密度を調べる、土壌分析を行って土壌中の腐植の量を調べるなど事前準備が必要だ。その事前準備には、土壌病原菌の菌密度計測や土壌分析は専門的な技術を必要とするものであり、専門の技術者が必要になる。AIと連動した特殊な測定装置があって、自動的に土壌中の菌密度や土壌環境が病原菌の生育への適・不適を診断するものではないのだ。
なので、有機農業の取組面積を拡大する際の技術として活用するにはまだまだ不十分な技術といえ、土壌病原菌自動計測技術など付随する技術の開発が必要なのだが、そのような付随技術はまだ開発されていないようだ。つまるところ、発想はわかるが2040年までに有機農業者が実感できるほど進む原動力になりそうはないとシンとんぼは思ってしまうのだが・・・。
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