シンとんぼ(120) -改正食料・農業・農村基本法(6)-2024年11月30日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項についてして持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのかを思案を巡らせている。実際の具体的な内容については来年3月に出される予定の「食料・農業・農村基本計画」で明らかとなるだろうから、詳細の検討は後に行うこととし、まずは改正法から国の考え方の方向性を探っていこうと思い、条文の理解を進めている。
今回は新設の第二条第4項を掘り下げてみようと思う。
同項の条文は、「国民に対する食料の安定的な供給に当たっては、農業生産の基盤、食品産業の事業基盤等の食料の供給能力が確保されていることが重要であることに鑑み、国内の人口の減少に伴う国内の食料の需要の減少が見込まれる中においては、国内への食料の供給に加え、海外への輸出を図ることで、農業及び食品産業の発展を通じた食料供給能力の維持が図られなければならない。」とある。
食料の安定的な供給に農業生産の基盤と農業の発展が重要なのは異論はないが、「食料供給能力の維持が図られなければならない」というのは少し気になった。"維持"? 国内の食料需要が減少するので現在の食料供給能力を維持できれば、将来の食料供給能力は万全だと言っているように思えるのはシンとんぼだけだろうか? 食料自給率は一向に上がらず、外国からの輸入が途絶えれば現在の食料供給能力の維持など夢物語になる状況の中で、なぜ国内生産力の向上が謳われていないのか疑問だ。
加えて、「食品産業の発展を通じた食料供給能力の維持」とはどういうことを指すのだろうか?
食品産業が発展しても、その食料供給能力を維持するためには、原料となる農産物の確保が必要になるのだが、多くの原料を輸入に頼っている現状をどのように考えるのであろうか?
いくら食品産業が発展するために、安い海外産原料を使って食品産業が利潤を上げて食料供給能力をあげたところで、海外から安い原料が入らなければ元も子もないではないか?
いずれにしても、第一条に「食料安保」という言葉があるにも関わらず、国内生産力向上に触れていないのはとても残念だとシンとんぼは思うのだが、いかがだろうか?
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