【今川直人・農協の核心】期待したい共同利用施設の再編集約2025年2月3日
証明されてきた効果
1980年代の一時期、北海道・甲信越・中国に突出した三つの農協があった。行政関係者から、それらが補助金を活用しているビッグ3であったことを後で知らされた。いずれも共同利用施設による高付加価値農業を実現していた。一つの農協の専務は地方議員を兼務していて、年末・年度末に県農政部に残っている予算を質し有効な事業を導入していた。この農協では組合員家族や地域の主婦をパートとして多数雇うので、正組合員戸数より職員数が多いという状況さえ見られた。当時のこれらの状況は、政策を導入することが地域農業の発展と活発な農協活動に直結すること、そして政策を積極的に活用する農協が少なかったことを物語っている。
久々に響く快音
共同利用施設(耕種部門)の整備に関わる事業は、「新基本計画実装・農業構造転換支援事業」の「共同利用施設の再編集約・合理化事業」(以下「再編集約事業」)及び「強い農業づくり総合支援交付金」の2事業である。ガット農業交渉決着時の関連対策等によるものを含め多くの共同利用施設の老朽化が進み、農業振興の懸案となってきた。令和6年度補正予算では「新基本計画推進集中対策」の「地域農業を支える食料供給基盤の強化」策として共同利用施設の再整備に400億円が措置され、JAグループは昨夏以降の令和7年度農林予算対策では例年に増して強くその重要性を訴えてきた。再編集約事業はこのような背景から、「食料・農業・農村基本法」改正(令和6年6月施行)初年度の令和7年度農林予算で、大きな注目を集めて登場した。
事業の趣旨は「地域計画により明らかになった地域農業の将来像の実現に向けて、老朽化した穀粒乾燥調製貯蔵施設や集出荷貯蔵施設等」を支援することで、説明資料では支援対象を「農業者の組織する団体等」としている。
農水省は、今年1月に再編集約事業の説明書「新基本計画実装・農業構造転換支援事業 (再編新事業)」を公表した。要件と稼働・修繕更新積み立て計画等10項にわたり、多くのケースをカバーしてわかりやすく説明している。
需要と期待の大きい「共同利用施設再整備」に正面から取り組む-経営所得安定対策に続く久々の「快音」である。
補助金の意義
「補助金漬け」といった言葉を今でも耳にするが、補助金の意味の理解に欠ける見方である。補助金は対象者個々への助成を、事業の効率化のために対象者が構成員となっている企業・団体等にまとめて交付するもの(手法)である。共同利用施設は組合員に代わって農協が設置費用の一部を受領し、設置・運営するものであって、農協は大きな責任を負っているのである。
事業の趣旨にある「地域計画」は令和4年5月の農業経営基盤強化促進法改正で法制化された旧「人・農地プラン」である。この事業趣旨は共同利用施設が農地や農業労働力と同様の「地域資源」であることの表明(認定)である。近年、施設の不備をかこってきた農協関係者が強く共感するところであろう。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日