シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項についてして持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのかを思案を巡らせている。実際の具体的な内容については来年3月に出される予定の「食料・農業・農村基本計画」で明らかとなるだろうから、詳細の検討は後に行うこととし、まずは改正法から国の考え方の方向性を探っていこうと思い、条文の理解を進めている。
今回は第十条、第十二条を掘り下げてみようと思う。
この2つの条文は、旧法の第九条で、農業者等の努力項目として"農業者"と"農業に関する団体"の両者共通で定められていたものが、新法では、第十条の"農業者の努力"と第十二条の"団体の努力"との2つに分けて、それぞれの努力事項つまり役割が定められているものだ。
すなわち、第十条は農業者の努力として、「農業及びこれに関連する活動を行うに当たっては、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。」とされており、旧法と変わらずに農業の主体者として農業者が基本理念の実現に努めるよう定められている。
一方、新設された第十二条では団体の努力項目として、「食料、農業及び農村に関する団体は、その行う農業者、食品産業の事業者、地域住民又は消費者のための活動が、基本理念の実現に重要な役割を果たすものであることに鑑み、これらの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。」となっており、基本理念の実現のために重要な役割を果たせるように"農業者や食品産業の事業者、地域住民又は消費者"に向けた活動に積極的に取り組むこととなっており、旧法で農業及びこれに関連する活動の主体者となっていた団体の役割が、農業者や食品産業、消費者の支援部隊へと大きく変わってしまっている。
ここでいう団体とは、旧法では農業に関する団体としてJAグループを指していたものが、新法では食品に関わる団体の幅を広げ生協等の団体を含めるためにこのような条文になったものだろうとは思う。しかし、JAグループと生協等では活動の内容が大きく異なっており、関連団体としてひとまとめにするのはいかがなものかとシンとんぼは思う。なぜなら、JAグループは今も農業の振興に中心的役割を果たしている団体だと思うので、農業の主体者としての役割も明記して欲しいと思うのだがいかがだろうか?
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