シンとんぼ(144)-改正食料・農業・農村基本法(30)-2025年5月31日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項について持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのか思案を巡らせている。実際の具体的な内容については先日(4月11日)に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」をもとに詳細を検討することになると思うが、まずは改正法全体の理解を深める方が先決と考え、引き続き条文の内容把握をすすめている。今回は第二十八条と第二十九条だ。
第二十八条は旧法の第二十三条であり、農地の確保及び有効利用をテーマとしている。その内容は、「国は、国内の農業生産に必要な農地の確保及びその有効利用を図るため、農地として利用すべき土地の農業上の利用の確保、効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積及びこれらの農地の集団化、農地の適正かつ効率的な利用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。」となっており、旧法に農地の"集団化"と"農地の"適正利用"の意味合いが追加されている。旧法と変わらず、農地の大規模担い手への集約を志向し、その手段として集団化も加えたような形だ。
第二十九条は旧法の第二十四条であり、 そのテーマは"農業生産の基盤の整備及び保全"となっており、旧法のテーマに"保全"が追加された形だ。条文の内容は、「国は、良好な営農条件を備えた農地及び農業用水を確保し、これらの有効利用を図ることにより農業の生産性の向上を促進するとともに、気候の変動その他の要因による災害の防止又は軽減を図ることにより農業生産活動が継続的に行われるようにするため、地域の特性に応じて、環境との調和及び先端的な技術を活用した生産方式との適合に配慮しつつ、農業生産の基盤の整備及び保全に係る最新の技術的な知見を踏まえた事業の効率的な実施を旨として、農地の区画の拡大、水田の汎用化及び畑地化、農業用用排水施設の機能の維持増進その他の農業生産の基盤の整備及び保全に必要な施策を講ずるものとする。」となっている。
この二つの条文により、国は「農地を大型の担い手や集団に集約して農地の確保と有効利用を進め、その農地で良好な営農を行えるように農業生産基盤を整備し、将来に渡って永年保全しよう。そのために必要な施策を講じよう。」といっているのだと思う。是非とも優良な家族経営への配慮を忘れないようにしながら、第二十八・二十九条に基づく施策が効力を発揮することに期待したい。
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