小泉農相は古き良き日本の食文化を壊すのか【森島 賢・正義派の農政論】2025年7月7日
●世界に冠たる農林統計
小泉進次郎農相は、世界に冠たる農林統計を壊そうとしている。邪推ならいいが、そのように思われてならない。
はじめに、1つの挿話である。
終戦直後、日本は深刻な食糧不足に見舞われた。当時、食糧メーデーという名で皇居前に50万人(主催者発表、警察発表は25万人)の人が集まり、全国の各地でも合計100万人ほどの労働者や農業者や市民が集まって、政府に食糧を要求した。
そのころ、吉田 茂首相がマッカーサー最高司令官に対して食糧援助を要請した。そのとき、「どれほどの量か」と聞かれた。吉田首相の答えは「それが分かれば、日本は負けなかったろう」だった。
その時以後、近藤康男先生が中心になって、農林統計の整備を行い、ついに世界に冠たる統計になった。
●作況調査を廃止する無謀
小泉農相は、コメの生産量が不正確だから、といってコメの作況調査を廃止する意向だ、と伝えられている。その理由は、不正確だからだ、と言うのだが、そうではない。コメを篩にかける時の篩目が細かすぎて、小粒のコメも篩に残り、市場の要求に合わないことが理由のようだ。これは、市場が小粒のコメを安く買い叩くための、悪辣な陰謀なのだ。
食糧安保に責任をもつ農相が、こうした横暴な市場の要求に応えていいものか。篩目が細かくて篩に残った小粒のコメも、食糧安保を担う立派な食糧である。
挿話を、もう1つ。
元外交官で作家の佐藤 優氏がモスクワへ行ったときの見聞記である。
「街から大きな広告が消えた」。これは、広告で消費を刺激する経済からの決別だという。
日本は反対で、大粒のコメだけのコメ消費を刺激しようとしているのではないか。それが、市場の要求である。
だが、小粒のコメは、大粒でないからといって、それほど味が劣るものではない。そして、非常時には、食糧安保の役割りを立派に果たすことができる。
●以前は米屋さんが独自にブレンドしていた
関連する挿話をつづけよう。
以前の古き良き時代のことだが、その頃は、銘柄さえ重要視されなかった。米屋さんが、何種類かのコメをブレンドして、独自の旨くて安いコメを売っていた。それが米屋さんの腕の見せどころだったし、自慢の種だった。そして、消費者からの支持も得ていた。
このように、大粒のコメと小粒のコメをブレンドすることは、ごく普通のことだった。大粒のコメと小粒のコメを分けて考えることさえもなかった。
これは、日本の古き良き時代の食文化だったのである。やや大げさにいえば、食糧危機を乗り越える知恵だったし、その役割りを果たす小粒のコメにも、大粒のコメと同様に敬意を払って、食事の前に手を合わせていた。
●小泉農相の保守主義は市場原理主義のことか
小泉農相は、こうした古き良き時代の、潤いのある文化を破壊して、「大粒のコメだけがコメだ」という市場の言うがままに、市場に奉仕しようとしているのではないか。彼の保守主義は、それ程までに軽薄なものなのか。
小泉農相がそのように考えているのなら、市場原理主義の権化というしかない。非常時に、小粒のコメに復帰させようとしても、小粒のコメはコメではないとしているから、食糧安保に役立たなくなってしまう。それでいいのか。
それは、天をも畏れぬ所業ではないか。やがて天罰が下るだろう。
●市場原理主義農政と決別せよ
以上、いくつかの挿話で小泉農政の市場原理主義的な側面を指摘したが、その真意は、市場原理を全否定せよ、ということではない。「・・・原理主義」を否定せよ、ということである。市場原理は、交換経済が始まった時以後、現在も経済の中心に位置していて、重要な役割りを担っている。
しかし、欠陥もある。その欠陥がいま、コメ問題で露呈しているのである。この欠陥を是正するには、コメ経済から市場原理主義を捨てるしかない。
食糧安保を確保するために、コメ市場へ政治が全面的に介入することである。
市場が、大粒のコメだけの統計がほしい、というのなら、そのための統計を、別に作ればいいのだ。それが、妥協の限界である。
(本稿はChatGPTから紹介して戴いた資料を参考にした。記して謝意を表したい。)
(2025.07.07)
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