シンとんぼ(155)-改正食料・農業・農村基本法(41)-2025年8月16日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項について持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのか思案を巡らせている。実際の具体的な内容については先日(4月11日)に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」をもとに詳細を検討することになると思うが、まずは改正法全体の理解を深める方が先決と考え、現在も条文の内容把握をすすめている。今回は第四十八条と第四十九条である。
第四十八条は新設の条文であり、鳥獣害の対策をテーマにしている。その内容は、「国は、鳥獣による農業及び農村の生活環境に係る被害の防止のため、鳥獣の農地への侵入の防止、捕獲した鳥獣の食品等としての利用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。」となっている。
この条文にあるとおり、今の農村、特に中山間地域における鳥獣害の被害は深刻なものがあり、まさに喫緊の課題である。シカやイノシシなどいわゆるジビエ利用が話題となっているが、対象の獣害は減っておらず、特に爆発的な増殖力を持つシカの頭数は増える一方だ。条文に挙げられているのは従来から存在する対策ばかりなので、新基本計画でより踏み込んだ施策になってほしいものだ。
第四十九条は旧法の第三十六条であり、都市と農村の交流等をテーマにしている。その内容は、「国は、国民の農業及び農村に対する理解と関心を深めるとともに、健康的でゆとりのある生活に資するため、余暇を利用した農村への滞在の機会を提供する事業活動の促進その他の都市と農村との間の交流の促進、都市と農村との双方に居所を有する生活をすることのできる環境整備、市民農園の整備の推進その他必要な施策を講ずるものとする。」となっており、旧法に、「余暇を利用した農村への滞在の機会を提供する事業活動の促進その他の都市と農村との間の交流の促進、都市と農村との双方に居所を有する生活をすることのできる環境整備」が追加されている。
第四十九条第2項は旧法の第三十六条第2項そのままであり、その内容は「国は、都市及びその周辺における農業について、消費地に近い特性を生かし、都市住民の需要に即した農業生産の振興を図るために必要な施策を講ずるものとする。」となっている。
これらは都市部のシルバー人材や主婦層の活用などを目指した91(キュウーイチ)農業などの取り組みを指すのだろう。このようないい取り組みは、点ではなく面的な拡大を図ってほしいと願っている。
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