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責任転嫁と価格転嫁【小松泰信・地方の眼力】2025年10月1日

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酷暑が去り、天高く馬肥ゆる秋。だが、フトコロ具合が、肥ゆることを許さない。

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コストはきっちり価格に転嫁

 帝国データーバンクは9月30日に「『食品主要195社』価格改定動向調査 ―2025年10月」を発表した。それによれば、主要な食品メーカー195社による、家庭用を中心とした10月の飲食料品の値上げは3,024品目。前年同月(2,924品目)を上回り、10カ月連続で前年の実績を超えることに。
 分野別では、最も多いのが焼酎や日本酒などアルコール飲料を中心とした「酒類・飲料」(2,262品目)。これに「加工食品」(340品目)、「調味料」(246品目)が続く。
 値上げの要因で、最も多いのが「原材料価格の高騰」(96.1%)。これに、「物流費」(78.8%)、「エネルギー(光熱費)」(64.3%)、「包装・資材」(62.9%)、人件費(50.2%)が続いている。「物流費」「人件費」は前年から大幅に増加。他方、「円安」(12.4%)は前年から大幅に低下。値上げが内的要因にシフトしていると分析している。
 「実質賃金が長らくマイナスの状態で推移したことで消費者における物価高への反発は根強く、小売現場では購買点数の減少、割安なプライベート・ブランド(PB)製品へのシフトといった節約志向が続いている」ものの、「食品メーカー各社では、本体価格の継続的な引き上げによって利益を確保する収益構造を目指しており、飲食料品における値上げは長期化・恒常化する」と予測している。
 要するに、食品メーカー各社は、上がったコストはきっちり価格に転嫁するので、飲食料品の値上げはあっても、値下げはないよ、とのご託宣。実質賃金が伸び悩む中で、人々は食費を切り詰めていかざるをえないようだ。

衣食削って習い事

 明治安田生命は、0歳から6歳の子どもがいる男女に、子育てに関するアンケート(有効回答者数1100人・9月4日から8日・インターネット調査)を実施した。9月30日に発表された報告内容で注目した事項は次の6項目に整序される。
(1)少子化問題が深刻化していることから、0~6歳の子どもが1人いる人に、「2人目が欲しいか」を問うた。「欲しい」と答えた人(2人目を望む人)は33.3%。前年から3.0ポイントの減で、2018年の調査開始以来最少。ピークが20年の56.9%で、それから前年を上回ることなく低下している。「2人目の壁」はより高くなり、少子化に歯止めはかかっていない。
(2)「2人目は欲しいが難しい・欲しいと思わない」と回答した理由は、最も多いのが「年齢的な不安」(49.8%)。これに「将来の収入面に不安があるから」(45.5%)、「生活費がかかるから」(34.6%)、「教育費がかかるから」(29.9%)が続いている。年齢的理由の後に、経済的理由が続いており、少子化問題の背景に経済的問題が大きく横たわっていることがうかがえる。
(3)子育て費用は、月額平均41,162円。調査開始以来のピークだった24年(41,320円)から、158円の減少。20年(36,247円)がボトムでそこから上昇し、23年から4万円台の横ばい傾向。いわゆる高止まりである。
(4)「物価高により子育て費用を負担に感じるか」という問いに、「とても負担」(41.2%)、「少し負担」(42.1%)、「あまり負担に感じない」(10.8%)、「負担に感じない」(5.9%)。大別すれば、83.3%が子育て費用を「負担」と感じている。
(5)負担と感じている子育て費用で、最も多いのが「食費」(46.7%)。これに「習い事やお稽古事」(36.3%)、「保育園・幼稚園代」(35.9%)、「日用品」(23.8%)が続いている。
(6)子育て費用を45.6%の人が節約していると回答。節約している費用で最も多いのが、「食費」(50.0%)。これに、「衣類費」(44.2%)、「レジャー・旅行」(32.9%)が続いている。負担感が上位だった、「習い事やお稽古事」は15.1%、「保育園・幼稚園代」は10.0%と節約対象としては低位である。「習い事やお稽古事」を節約しない理由で最も多いのが「子どもの将来への投資だと思うから」(62.0%)。2番目が、「子どもの心身の成長に必要だと思うから」(39.9%)。
 「衣食足りて礼節を知る」とまでは言わないが、豊かな食生活も心身の成長に必要なはずだが。

食生活への高まる不満の矛先

 内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査」(調査対象5,000人、回収数2,729人・8月7日から9月14日・郵送法)の速報が9月26日に公表された。注目した事項は次の2項目に整序される。
(1)政府が力を入れるべき取り組み(「その他」も含む33項目から複数回答)は、最も多いのが「物価対策」(73.0%)。
これに「医療・年金などの社会保障の整備」(64.5%)、「景気対策」(58.7%)、「高齢社会対策」(48.8%)、「少子化対策」(42.0%)が続いている。
(2)食生活の満足度について、「満足している」(15.1%)、「まあ満足している」(46.5%)、「やや不満だ」(27.4%)、「不満だ」(10.6%)。大別すれば、「満足」(61.6%)、「不満」(38.0%)。2021年からの5年間で、満足項目はすべてボトム。不満項目はすべてピークとなっている。
 短絡的に不満の矛先が、農畜産物の生産者やJAグループに向かうとすれば、それはまさに「責任転嫁」。

コストは「価格転嫁」すべし

 新潟日報(10月1日付)の社説は、「一段と家計負担が重くなる。暮らしのゆとりがなくならないか心配だ。自民党総裁選でしのぎを削る5候補には、生活不安をどう払拭するか、実効性ある対策について議論を深めてもらいたい」、さらに「10月からは、一定以上の所得がある75歳以上の外来医療費の窓口負担も上がる。(中略)各候補は、負担増に苦しんでいる国民の生活をしっかりと見据え、即効性のある対策についても知恵を絞ってもらいたい」と訴えている。
 この訴えが、解凍に失敗した干物のような五人組に届くとは思われない。届いていればとっくに手は打たれている。
 「習い事やお稽古事」を最重要視して、食費を節約しようとする子育て世代が、もし「ニッポンの農畜産物高い、コメ高い」という批判や不満の声を上げても、生産者が責任を感じる必要はまったくない。農業という営みに誇りを持ち、これからも国民に多面的機能と農畜産物を供給し続けるために、コストは堂々と「価格転嫁」すべきである。彼ら彼女らが食い改めるまで。

 「地方の眼力」なめんなよ 

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