【世界を診る・元外交官 東郷和彦氏】米国大統領の"変貌" 日本外交も節目2026年3月19日
本紙1月30日号(「JAcom」1月22日掲載)の投稿で筆者は、2026年になってからのトランプ大統領の行動について「ノーベル平和賞を希求する大統領から、米国の覇権のために断固武力を使う指導者に変貌したのか、深刻な問いが浮上したことは否めない」と書いた。案の定、2月28日トランプ大統領は、イスラエルと協調してイランへの武力攻撃に踏み切った。まさにこの問いに答えるべき決定的な事態が起きたと思われる。
元外交官 東郷和彦氏
戦争の目的について3月2日トランプ氏はホワイトハウスから演説で、
①イランのミサイル能力の破壊、②イラン海軍の全滅、③核兵器の保有阻止、④親イラン組織への支援の停止の4点をあげた。
しかし、最初の攻撃でトランプ氏は、1979年のイラン革命で国家の実権を握ったホメイニ師の後継者ハメネイ師を殺害。79年以来継続してきた最高指導者選出のルールに従い、3月8日、ハメネイ師の次男モジタバ師が最高指導者に選出された。3月12日、イランの国営テレビは、アナウンサーが読み上げる形でモジタバ師の演説を放映した。モジタバ師演説は「殉教者の血に復讐し」「ホルムズ海峡の閉鎖を支持し」「地域にある米軍基地の閉鎖」を要求した。イスラエルとトランプ氏がこのような政権をやすやすと許容するとは到底思えない。
しかし、その問題よりも、当面、イランによるホルムズ海峡の閉鎖により世界の原油価格が上がり始めたという危機が発生した。車社会の米国で、ガソリン価格の上昇は家計を直撃し、大統領不人気として爆発しかねない。
3月13日トランプ大統領は、イラン産原油輸出の9割を担う供給基地であるカーグ島の「すべての軍事施設を破壊した」と自身のSNSに投稿した。石油基地を攻撃の対象からはずしたのは、彼の「品位」の故であるが、もしも必要があれば「もっと懲罰的」になれるという脅しもかけた。
問題解決を急ぐ大統領は、3月14日自身のSNSに、「イランは完全に破滅されているが、ホルムズ海峡を封鎖することによる障害を作り出している。ホルムズ海峡の自由航行のために、『中国、仏、日、韓、英そのほかの国』が艦船を派遣することを期待する」という衝撃的なメッセージを投稿した。
ところがこれに対し、各国の反応は決して積極的なものではなかった。
●仏:米国とは距離を置き、欧州主導の「純粋に防御的」な護衛任務を確立
●英:海上輸送の安全確保のため、同盟国と協議を継続する
●独:「我々の戦争ではない」「戦争に参加するいかなる理由もない」
●中:敵対行動の即時停止・全当事者に責任・緊張緩和と平和回復に努める
●韓:トランプの主張に注目・韓米で緊密協議・慎重に判断
●日:19日の首脳会談を控える高市総理は、18日国会で「関心を持ってフォロー、何ら決まっていない、できないことはしっかり伝える」と発言。
ここに至り、3月17日トランプ氏は、「米国は誰からの支援も必要としない」と述べ、18日のTruth Socialでも「NATOは何時も一方通行だった」としたうえで「NATOも日本もオーストラリアも韓国も誰からの支援も必要としない」と檄をとばした。
いずれにせよ最も根本的問題は、米国のイラン攻撃が「武力によってアメリカの国益を実現する」ための「全能過信大統領」としての究極の行動だったか否かである。
もしそうなら、トランプ氏の本質は、筆者が本紙2月28日号(「JAcom」2月20日掲載)で述べた米国の至高性の上に胡坐をかいた「ネオコン大統領」と何ら変わらないことになる。奇しくも3月18日米政府の反テロセンター所長のJoe Kent氏は、イラン攻撃には何らの正当性なしとして辞職した。
他方、トランプ氏が行ったイラン攻撃にそれなりの正当性があり、「平和希求大統領」としての本質に未だ認め得る点があるとすれば、日本にとってはうれしい展開となる。
いずれにせよ、日本外交に重要な節目が来ているのは間違いないと思う。
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