農林中金決算 経常利益1865億円 前期比40%増 2022年11月17日
農林中央金庫は11月16日、2022年度上半期の決算を発表した。経常利益は前期比40%増の1865億円を確保した。
今期は米欧を中心とした利上げに伴い資金調達費用が増加し、前期比2121億円増加した。一方で円安によって利息、配当が上振れし資金運用収益は同3323億円増となった。
有価証券はリスク削減のため外国債券を12兆円売却したが、売却損は前期の▲637億円に比べ▲59億円に縮小した。その結果、経常利益は前期比40%増の1865億円、純利益は同86%増の1698億円となった。
一方、金利上昇によって有価証券評価損を1兆7000億円を計上したことから、純資産は5兆5000億円と1.8兆円減少した。総自己資本比率は前期の21.33%から▲5.45%減の15.78%となった。
自己資本比率は有価証券の含み損が要因で減少したが、有価証券は欧米の国債が大半で「蓋然性の高い評価損」であり、自己資本比率は十分な健全性を維持しているとする。
貸出金は海外への貸出は増加したものの、政府向けの減少で4兆円減の18.9兆円となった。JA貯金は3月比で1兆円増えて109.3兆円となり国内個人預貯金残高シェアのうちJAバンクは9.8%を占める。
農業融資の2021年度新規実行額は3822億円で前年度より471億円減少したが、取引先は9864社と447社増えており「着実に実績を伸ばしている」(伊藤良弘理事兼常務執行役員)としている。また、アグリシードファンドなどファンドを通じた農業法人への出資は累計667件・135億円をじている。
会見では中期経営計画や2030年までの中長期目標の取り組み状況についても奥理事長が説明した。
職員の再配置については600名の計画に対して650名程度の再配置が実施され、このうち410名がJAやJFの現場で法人への貸し出しなどを通じて農業経営支援などの活動を行っている。
また、温室効果ガス排出削減に向けたサステナブル・ファイナンスは上期に約2兆円を実行し累計で3.5兆円となった。目標は2030年までに10兆円としており、奥理事長は「概ね順調な進捗」と述べた。
農林水産業者の所得増大への貢献も目標に掲げているが、具体的には担い手へのコンサルティング活動や、食農関連企業への出資・融資を通じたバリュチェーンを構築し、農業側の所得向上につなげる取り組みだ。このうち担い手コンサルティング活動は2021年度に186の農業法人などで実施、22年度は300を予定している。こうしたコンサルティングを通じて雇用者の賃金などをフォローし所得向上につなげていく。
奥理事長は「金融環境は不透明で嵐のなかにいるようなものだが、リスク量を減らして健全性に留意しながら財務運営を行っていく」と述べるとともに、「サステナビリティと食料安全保障の強化に向け農林水産業を支えていきたい」と話した。
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