「稼ぐ力」はどこまで強化されたか 国際案件と外部連携で収益基盤強化 農林中金2025年11月26日
農林中央金庫は、収益源の分散と外部連携の強化を柱とする「稼ぐ力」の再構築を進めている。2025年度上半期は黒字に転じ、分散投資の成果が一定程度表れたが、先行きの市場環境は依然として不透明で、通期見通しは据え置いた。
左:北林太郎農林中金理事長、右:長野真樹専務執行役員
農林中央金庫が掲げる「稼ぐ力」の再構築は、中期的な時間軸で収益源を多様化し、安定した黒字体質を築く取り組み。北林太郎理事長は「健全性の維持を前提に、収益源の分散化を着実に進めている」と語り、国内外の債券や株式、特定事業に融資を行うプロジェクトファイナンス、さらに債券・株式以外のオルタナティブ資産への投資も強化している。これら幅広い資産への投資が収益改善に寄与したとの認識を示したが、「これらは一朝一夕に完了するものではなく、複数年にわたる取り組み」と、改革がまだ道半ばであることも強調した。
「稼ぐ力」の再構築に向けた主な取り組み
2025年度の半期決算は取り組みの成果が表れ、連結純利益は846億円となり、通期純利益見通しの300億〜700億円を上回った。しかし、「先行きは依然として不透明で、楽観視はできない」とし、通期目標は据え置いた。黒字を回復したものの、市場環境の不確実性を踏まえ慎重姿勢を崩さない。
具体的な施策としては、財務戦略委員会の設置など財務運営とリスク管理の強化を土台に据えつつ、貸出やクレジット、株式、債券、オルタナティブ資産を積み増し、地域、アセット、年限、投資時期を分散するポートフォリオ構築を推進している。短期的には、非金利収益を確保しやすい国内外債券、株式、プロジェクトファイナンスへの投資を強化している。
その象徴例が、英国で進むCO2輸送・貯留(CCS)プロジェクトへの参画だ。イングランド北西部およびウェールズ北部の沿岸地域で回収されたCO2を海底に輸送・貯留する案件で、総事業規模は約25億ポンド(約4700億円)に上る。農林中金はロンドン支店を通じてこの一部をファイナンスしており、投資収益の確保と産業地域の脱炭素化に貢献する案件として位置づけている。
もう一つの例が、豪州で組成されたソーシャル住宅ローン債権プール(複数のローン債権の集積)への投資だ。今回の案件は、障がい者向け特別仕様住宅のローンを裏付資産に含む世界初のファイナンスで、農林中金は9億5760万豪ドル(約1000億円)を投じた。「安定的なリターンが見込めるだけでなく、障がいを持つ方々の生活支援にもつながる」(長野真樹専務執行役員)とし、収益性と社会性を兼ね備える案件として紹介した。
11月13日に公表したSBI新生銀行との業務提携も、「稼ぐ力」の強化に向けた重要な柱だ。資産運用ビジネスの拡大、多様な投融資ニーズへの対応、食農・地域金融のDX推進の三分野で相乗効果の創出を狙う。農林中金が持つクレジットやオルタナティブ資産の運用力に、SBIグループのデジタル技術とネットワークを組み合わせることで、新たな収益機会が生まれる可能性に言及した。
CLO投資資産残高
一方、市場運用の中核となるCLO(市場運用資産)は、投資資産残高が2025年3月末から1兆4000億円増加し、9兆7000億円(2025年9月末)に達する。農林中金は最も安全度の高いAAA格に限定し、裏付資産の詳細分析や独自のストレステストを徹底していると説明。リスク管理を前提とした投資であることを強調した。
北林理事長は「取り組みはまだ道半ばであり、確実な前進には時間がかかる」と語り、改革を着実に積み重ねる姿勢を示した。上半期の改善を過度に評価することなく、不透明な市場環境を前提に、「稼ぐ力」の再構築を引き続き進めていく構えだ。
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