早期米の作柄 高知県除き「不良」-17年ぶり2015年7月29日
農林水産省は西南暖地の早期米作柄概況を7月28日に公表した。7月15日現在の調査結果。高知県では昨年と同様、「平年並み」が見込まれるものの、宮崎県と鹿児島県では「不良」の見込みとなった。
要因は4月から5月中旬にかけての日照不足、6月の低温・日照不足で、「穂数」が少なく、「全もみ数」も少ない見込みだという。沖縄県の第一期稲の作柄は台風6号の影響で開花・受精が阻害されたことなどが要因で、昨年に続き「不良」が見込まれている。
農水省によると高知県は宮崎・鹿児島にくらべて早期米の田植え時期が遅いことから、今年4月から5月の日照不足の影響が比較的少なく、平年並みになったという。
宮崎・鹿児島の早期米の作柄見込みがこの時期に「不良」となったのは平成10年以来のこと。この年の早期米作況は宮崎県が78、鹿児島県が94、沖縄県が89。ちなみに、普通期作も含めた平成10年の全国作況は98だった。
管内で600haの早期栽培面積がある鹿児島県のJAさつま日置の担当者によると「開花期に雨続きで受粉に影響があるのではと思っていた。田植え時期が早い地域のほうが影響が大きく、2割以上の減収ではないか」という。水稲作付けは早期栽培のみという農家もあり「かなりの減収になりそうとの声があがっている」。今はしっかり集荷・出荷を急ぎたいという。
「米の担当になってこれほど作柄が悪いのは初めてのこと」と話すのは宮崎県のJA宮崎中央の担当者。主食用米の作付け面積は約2900ha。お盆前までに収穫を終える早期米地帯だ。平年収量は10a480kgで、例年、収穫の初めは同420kg程度だが、それが今年は「300kgのところも...」と声を落とす。
穂数が少ないうえに、いもち病が多発し10%ほど不稔が発生しているようだという。出荷・販売にしっかり取り組むのがJAの課題だが、これまでは天候不順による刈り取り遅れと収量減で「思ったように米が集まらず厳しい状況」。ただ、天候が回復、安定してきており一気に収穫作業を進められそうだという。
早期栽培の作柄概況は8月15日現在の調査が行われ作況指数として8月末に公表される予定。高知・宮崎・鹿児島・沖縄4県の早期栽培面積は全国水稲作付け面積の1.3%(26年産)となっている。
(関連記事)
・米価問題「需給の改善しっかりと」-林農相(15.07.08)
・米価下落で過去最高の補てん ナラシ対策515億円 (15.06.08)
・飼料用米増産を 申請期限を7月末に延長 農水省 (15.06.01)
・飼料用米の生産費 5割減目標 農水省 (2015.05.13)
・米の小売価格5kg1824円 米の消費動向 (2015.05.12)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日