米生産 外食・中食需要に対応を-米のマンスリーレポート2017年1月17日
農林水産省が毎月発行している「米に関するマンスリーレポート」の1月号では最近の米の消費実態をもとに、需要に応じた米生産の重要性を特集している。
米穀安定供給確保支援機構の調査によると、主食用米の消費内訳は「家庭内」69.0%、「外食」12.9%、「中食」18.1%となっている。外食・中食の需要は主食用米の3割を占めており、今後も堅調な需要が期待される。
しかし、外食・中食事業者が求める国産米と、実際に生産されている銘柄との間にミスマッチが生じており、事業者側からニーズに合った米が不足しているとの声が出ている。
レポートでは、こうした状況を放置すると、事業者は外国産米を利用するなど、国産米の需要減が加速し、家庭用ブランド銘柄の販売不振も招くと指摘、そうならないためには外食・中食などの実需者と産地との間で、複数年契約・事前契約などの安定取引を拡大していくことが重要だと強調している。
先進地域では、高級ブランド米の生産・販売と合わせて、外食・中食向けをメインターゲットにした米の生産を推進し事前契約比率を高めていることを紹介している。
27年産の事前契約比率は全国平均で25.8%だった。ただし、比率の高い県は4割を超えている。27年産の上位5県は(1)山口=50.0%、(2)香川=46.7%、(3)宮城=45.1%、(4)宮崎=43.7%、(5)滋賀=40.7%となっている。
農水省は産地が出来秋に米を売り急がず長期販売するための保管コストなどを支援する米穀周年供給・需要拡大支援事業として50億円を措置しているが、29年度予算からはこの事業に米産地と外食・中食など業務用とのマッチングを支援するメニューも追加する。
特集では加工用米需要にも応じた生産も重要になっていることを取り上げている。
焼酎、米菓、味噌などの加工用途で使用されている国産米は年間約80万t。このうち特定米穀(ふるい下米)が約25万t使用されているという。
需要者は安価な米穀を求めて、特定米穀を利用している。しかし、主食用米の生産量そのものが減少していることに加え、特定米穀の発生量は作柄によって大きく変動することや、主食用米の需給状況により加工向けの供給量も大きく変動することなど、安定供給が難しくなっている。
そのため国産米の安定調達に向けて、計画生産が可能な加工用米による安定供給・安定調達体制を確立することが必要だと特集で強調している。
それによって需要者も特定米穀に依存することなく、加工用米にシフトして安定調達ができる。生産者にとって安定的な販売先と収入の確保につながる。国としては水田活用の直接支払交付金から戦略作物助成として加工用米生産に10a2万円を交付しているほか、各地域の裁量で活用可能な産地交付金で加工用米支援を上乗せすることもできる。
重要な記事
最新の記事
-
花は見られて飽きられる【花づくりの現場から 宇田明】第71回2025年10月23日
-
続・戦前戦後の髪型と床屋・パーマ屋さん【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第361回2025年10月23日
-
「ゆるふわちゃんねる」登録者数100万人突破 JAタウンで記念BOXを限定販売 JA全農2025年10月23日
-
佐賀県発の新品種ブランド米「ひなたまる」デビュー記念 試食販売実施 JAグループ佐賀2025年10月23日
-
AI収穫ロボットによる適用可能性を確認 北海道・JAきたそらちと実証実験 アグリスト2025年10月23日
-
被爆・戦後80年 土浦市で被爆ピアノの演奏と映画上映 パルシステム茨城 栃木2025年10月23日
-
協同組合を3か月にわたり体験 インターンシップ修了報告会開催2025年10月23日
-
化学肥料7割・化学農薬5割削減で米を収穫 プラネタリーバウンダリーに取組 旭松食品2025年10月23日
-
愛知県「カインズ 岡崎美合店 」23日にグランドオープン2025年10月23日
-
アレンジレシピに感心 38ブース出展し「商品展示会」開催 パルシステム山梨 長野2025年10月23日
-
「移動スーパーとくし丸」ベルジョイスと提携 盛岡市で今冬から開業へ2025年10月23日
-
「アニマルウェルフェアシンポジウム」宮崎で開催 畜産技術協会2025年10月23日
-
需要に応じた生産が原理原則 鈴木農相が就任会見2025年10月22日
-
新農相に鈴木憲和氏 農政課題に精通2025年10月22日
-
鳥インフルエンザ 北海道で今シーズン1例目を確認2025年10月22日
-
【2025国際協同組合年】協同組合間連携で食料安全保障を 連続シンポ第7回2025年10月22日
-
身を切る改革は根性焼きか【小松泰信・地方の眼力】2025年10月22日
-
将来を見通せる農政一層前に 高市内閣発足・鈴木農相就任で山野全中会長が談話2025年10月22日
-
丸の内からニッポンフードシフト「NIPPON FOOD SHIFT FES.東京2025」開催 農水省2025年10月22日
-
来年の米生産 米価高を理由に3割が「増やしたい」米生産者の生産意向アンケート 農水省2025年10月22日