産地の手取り回復 最優先 需要に応じた生産を 米関係者が意見交換2023年2月7日
農林水産省は1月25日に開いた「第1回米産業活性化のための意見交換」での意見の概要を公表した。
意見交換会は米の生産から消費まで米のビジネスに関わる関係者が参集し情報共有を行うために開いた。
有識者による基調講演の後、農水省が米をめぐる状況について説明した。2022年産主食用米の作付面積は前年比▲5.2万haの125.1万haで飼料用米は14.2万haと2年で倍増しており作付転換が進んでいることや、米の販売実績は昨年11月で小売り、中食・外食向けとも対前年比±ゼロで需要回復の見通しはあることなどを説明した。ただ、年間10万t程度の需要減の傾向を前提に、23年産も22年度と「同程度の作付転換が必要」と話した。
卸売業者や実需者の委員からの情報提供では「非主食用米への作付転換を求められた結果、22年産米は需要回復した業務用米が不足しつつある。20・21年産の在庫があるため対応できているが、23年産も同様の傾向が続かないか不安。産地の手取り回復が最優先。中長期的には家庭洋内食から業務用外食・中食にシフトしており、共通銘柄化などによって23年産米から需要に応じた生産をお願いしたい」(伊藤忠食糧・佐藤委員)、「外食は量・品質・価格の安定供給を求めており年産にあまりこだわりはない。現場の混乱を防ぐためか、使い慣れた同じ銘柄を好む傾向。新米は必ずテストするユーザーもおり、粘りなど品質により使用できないといった判断もあり得る。安ければいいわけではない」(むらせ・人見委員)などの指摘が出た。
また、弁当やおにぎりなど調理済食品製造のわらべや日洋の吉田委員は「商品に合わせた米の選定のため産地訪問で現場を学ぶとともに、自社の要望銘柄を伝え次年度の調達に活用。ICT農法を活用し生産効率の向上、持続可能な栽培に取り組む産地を求めている。価格変動を小さくできる工夫をしていきたい」などと述べた。
その後、現在の需給と今後の見通しについての意見交換では「北海道の22年産は7%深掘削減したため前年比4万t減。販売量は1割増で在庫量も減り、北海道米の需給は相当改善、23年産も22年産実績並みの生産目安の設定を進める予定。肥料の値上がりをカバーし再生産可能としていきたい」(ホクレン・南委員)「需給は均衡、改善しつつあるが、20年産、21年産の販売も継続しているため、全体のなかで何とか均衡を保っている。生産サイドとしては再生産可能な価格水準とする取り組みが必要。肥料高騰はさらに課題。各産地は需要をよく見極め23年産の作付品種を検討する必要がある」(全農・藤井委員)といった意見があった。
生産者委員からは「(米価)値上がりの実感はない。23年産の契約交渉でも値下げ圧は強い」(フクハラファーム・福原委員)と指摘された。また、集荷団体からは「産地からは作況以上に穫れていないとの話がある。22年産価格の上昇で23年産で急激に飼料用米から主食用に戻ることがないよう需要に応じた生産の推進が必要」(全集連・辻委員)との意見もあった。
第2回の意見交換は5月を予定している。
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