「田んぼダム」器具の特徴を整理 雨の規模と効果の関係を評価 農研機構2023年3月3日
農研機構は、水田の排水口に取り付ける田んぼダム用の器具が発揮する、水田への雨水を時間をかけてゆっくり流出させる効果やその特徴を器具のタイプ別に整理した。「田んぼダム」は、通常の営農を行いながら実施する取り組み。同成果は水田の整備状況や農家の水管理の意向に合った器具を選択する際の参考になる。
落水枡への田んぼダム用器具の一般的な取り付けイメージ図
近年、気候変動の影響等により、洪水などによる水災害の頻発化、激甚化が懸念される中、水田の排水口に取り付ける簡単な器具によって水田への雨水を時間をかけてゆっくり流出させ、下流側の洪水の被害を軽減する「田んぼダム」の取組が注目されている。
田んぼダム用器具には様々なタイプがあり、タイプにより雨水の流出を遅らせる効果やその特徴が異なる。そこで、田んぼダム用器具のタイプにより、効果が発揮されやすい雨の規模や、効果が継続する時間が異なることを実験や計算によって明らかにし、その結果を整理した。
水田の排水口に取り付ける田んぼダム用器具は、大きく分けるとせき板のように設置するタイプ（機能一体型）と、せき板とは別に設置するタイプ（機能分離型）がある。前者は比較的小さな雨に、後者は300ミリ程度のまとまった雨に対して、より効果を発揮する傾向がある。また、水田の水深の変化については、前者の方が雨の直後から上がりやすく、いったん上がった後は元の水深に戻るまで時間を要する。
なお、400ミリ以上の大雨では、いずれの器具とも雨水の一時的な貯留による流出を遅らせる効果は低下。農林水産省の土地改良長期計画において「田んぼダム」に取り組む水田の面積を約3倍以上にするとの目標が設定されており、新規取組の増加が予想される。
導入にあたっては、水田の整備状況、農家の意向や雨の降り方などを考慮して器具を選択することが重要。同成果は田んぼダム用器具のタイプ別の効果や特徴を理解するのに役立つ。
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