神奈川県産米はるみで純米大吟醸「あふり」国内外の酒類コンテストで受賞 吉川醸造2024年11月14日
シマダグループの吉川醸造(神奈川県伊勢原市)が伊勢原産の「はるみ(阿夫利清流米)」と伏流水でつくった純米大吟醸「雨降 HARUMI 33」が、令和6年東京国税局酒類鑑評会(清酒純米吟醸部門)で優等賞を受賞。また、イギリスの酒類コンテストIWC(International Wine Challenge)でシルバーメダルを受賞した。
雨降///あふり「HARUMI 33」(純米大吟醸)
日本酒 「雨降///あふり」は、酒米ではなく地元伊勢原産の飯米「はるみ(阿夫利清流米)」でつくった純米大吟醸(精米歩合33%)。このほど受賞した「雨降 HARUMI 33」は、小仕込みで計473本の醸造だったため、通常の販売ルートではなく、吉川醸造メール会員への頒布となり、ほぼ即日完売した。
吉川醸造は約3年前、新たな名産品を生み出すため組織された伊勢原うまいもの遺産創造委員会とJ A湘南の要請を受け、地元産の飯米「はるみ(阿夫利清流米)」を使った日本酒の醸造に着手した。
飯米は、酒米に比べて心白の発現率が低く麹菌が根を張りにくいことや、アミノ酸が豊富なことから濁りや雑味が出やすいことが難点。さらに吉川醸造の仕込み水、雨降山の伏流水は硬水(硬度150~160)で、渋味や苦味があるため、きれいな酒質が求められる鑑評会への出品を目指すには不利なスタートだった。
そこでまず、神奈川県で初めて食味ランキングで「特A」を受賞した「はるみ」の米本来の味を活かせる低精白(精米歩合90%)の酒に取り組んだ。「はるみ」などの飯米は酒米と比べてアミロース含量が低いため、蒸米後のα化したデンプンが老化し難いことから、醪末期までブドウ糖の供給が続く。その結果、現代の酒の重要な指標であるグルコース含量をコントロールできることはメリットとして挙げられる。
「はるみ」のサイズは酒米の3/4程度で、同等の精米歩合でも、精米後の白米は格段に小さく、特に洗米⇒浸積の工程では酒米以上に細心の注意を払う必要がある。そこで、濁りや雑味を抑えるため、一般的に15度程度で行う発酵工程を10度という低温でじっくり行うことで、米の旨味を最大限に引き出した。
厳密な水分管理を経て醪の仕込みへと移行した後も、飯米ならではの豊富なアミロペクチンに起因する課題などさまざまな困難を経て完成した飯米の純米大吟醸は、蔵・杜氏の技術にフォーカスしたコンテストである鑑評会で優等賞を受賞した。
雨降山の伏流水とその水で育った飯米の組み合わせは、フランスワインで重視される「テロワール」(地域の風土や土壌などがワインの味に影響を与えるという概念)に通じる。今後は、「日本の伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産への登録に向けて前進したことも契機として、地域の風土に根差しながら、世界中で受け入れられるお酒づくりを続けていく。
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