値上げ、ライス減量の一方、お代わり無料続ける店も 米価値上げへ対応さまざま 外食産業2024年11月15日
米の値段が上がるなか、外食産業では、ライスの価格を上げたりライス量を減らすなど対応を急いでいる。お代わり無料は、見直すチェーンと堅持するチェーンとに分かれた。コスト増の中、採算をとりつつお客様の胃袋を離さないため、試行錯誤が続く。
すかいらーく「産地と良いお取引続けたい」
外食大手のすかいらーくホールディングスは、9月26日から、傘下のレストランチェーンでライスを値上げした。単品のライスでは、ガストは+30円、バーミヤン+33円、ジョナサン+44円だ。広報は「以前から産地と直接契約することで、中間マージンを省き安定的供給を図ってきた。今回の価格改定には、産地の方々と良いお取引を続ける趣旨も含まれている。価格改定について、お客様にもご理解いただけている」と話す。
おりじん弁当 ライス量と価格戦略、使い分け
おりじん弁当では、おにぎり、おにぎり関連商品のライス量を一部店舗で150グラムに減らした。コンビニのおにぎりが110グラム前後なので、変更後もそれより大きい。おりじん弁当を運営するオリジン東秀は、「近畿のイオングループ内の店舗や路面店は、もともと関東よりおにぎりが大きかった。今後、価格高騰の影響が確実に予想されるので、前もって整理した」(経営戦略部)とする。
ライス量調整と値上げとの使い分けについては、「既存商品の単純な値上げは受け入れてもらい難い。新商品を投入する際は、仕入れコストを反映した適切な値付けをしている。品ぞろえを強化していることもあり、売り上げに影響は出ていない」(同)と説明した。
天丼てんや「価格改定等に前向きな応援も」
天丼てんやでは、11月8日から天丼5品、定食5品などを30円、ごはん(単品)、ごはん大盛り・特盛りへの変更を20円値上げした。前日には、定食のごはんおかわり無料サービスを終了(8日から、定食のごはん大盛り無料サービスを開始)した。
天丼てんやを運営するロイヤルホールディングスは、価格改定等へのお客様からの反応について「ニュートラルな受け止めや前向きな応援のお声が多く寄せられており、価格改定の背景である米価格の高騰についても、ご理解をいただいていると感じております」(サステナビリティ本部 広報部)。その上で、「品質や分量を維持しながら商品提供を続けることも重要だと考えております。今回の価格改定によって米価の高騰を全てを吸収できているわけではありませんが、今後も引き続き様々な方面での取り組みを進めてまいります」(同)と説明する。
やよい軒 産地仕入れで「おかわり自由」を維持
「ごはん処 やよい軒」では、朝食と定食で「ごはんおかわり無料」を続ける。やよい軒を運営するプレナスのコミュニケーション本部・コーポレートコミュニケーション室は、「当社は長きにわたり、"ごはん"にこだわりを持って事業を展開してまいりました。全国有数の産地から玄米を仕入れて自社工場で精米し、店舗ではガス釜で炊飯して美味しいごはんを提供しております。そのおいしさを心ゆくまで味わっていただくため、定食や朝食のごはんを『おかわり自由』としています」とコメントした。
外食での米消費、今のところ堅調
米穀安定供給確保支援機構(米穀機構)の「米の消費動向調査(令和6年9月分)」によると、9月の外食での1人1ヵ月当たり精米消費量は593gで、前年同期比+3.5%だった。外食大手は今年に入り相次いで値上げなどを発表したが、外食全体がコロナ禍での落ち込みからの回復軌道に乗っていることもあり、外食での米消費も堅調に推移している。
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