給食を核に「ローカル自給圏」確立を ごはん会議で鈴木宣弘教授 小泉新農相には危惧2025年5月26日
5月24日、埼玉県内で行われた集会「ごはん会議」で、鈴木宣弘東京大学特任教授が講演。米不足や離農など危機的状況に対し、学校給食、産直、直売所を核にローカル自給圏を広げて対抗しようと提唱した。小泉進次郎・新農相への危惧も語られた。
ごはん会議in坂戸で参加者の質問に答える鈴木宣弘・東京大学特任教授。
左はれいわ新選組の高井崇志幹事長(5月24日、埼玉県坂戸市)
ごはん会議は、食と農の安全・安心を地域から考えようと、鈴木教授が全国を回って講演。農家、市民らと話し合ってきた企画だ(主催:れいわ新選組)。埼玉県坂戸市は21ヵ所目で、最終日を迎えた。会場のホールには開場前から多くの市民が詰めかけたため、急遽第2会場が設けられた。ごはん会議参加者は累計で3933人にのぼる。
全国を回ってきたごはん会議は埼玉県坂戸市で最終回を迎えた
狙われるJAマネー
鈴木教授は冒頭、「小泉農相は勢いだけで暴走する。安い値段の米を一部のお友達にだけに流して儲けさせ、中小スーパーやお米屋さんには届かなくても、(ネット通販や大手量販店等で)下がったよというパフォーマンスをしようとしているのではないか」と述べた。農相の父、小泉純一郎首相が手掛けた「郵政民営化は、郵貯マネー350兆円が欲しいウォール街の意を受けたもの。今度はJAマネー(農林中金の預金と全共済の運用資金)が狙われている。米穀物商社は全農を狙っている」とし、警戒を呼び掛けた。
「とにかく下げる」に危うさ
衆議院農林水産委員会委員のやはた愛議員(れいわ新選組)も、「私も委員会質疑で『入札を止めて備蓄米を出すくらいの大胆なことをしないと』と言ったが、前提は農家への所得補償。とにかく下げるというのは危険で、『米は安いのが当たり前、あとは知らん』となればしわ寄せは農家に来る」と述べた。
地域農業支えることこそ安全保障
講演で鈴木教授は、新型コロナ感染症、中国の爆買い、異常気象、戦争を挙げ「金を出せばいくらでも農産物を輸入できる時代は終わった。少々高くても、みんなで地域農業を支えることが一番の安全保障だ」と力説した。
鈴木教授は、行き過ぎた生産調整と長く続いた低米価が米不足・価格高騰の主因だとし、農業予算を減らしてきた政府・財務省を批判。農家が安心して増産できるよう、農家への所得補償と国による買い上げを求めた。生産者と消費者とが支え合い、学校給食・産直・直売所を核にしてローカル自給圏を広げていくことに希望があるとし、「正義は勝つ、こともある」と締めくくった。
JA・全農の存在意義は
「JA、全農の存在意義は」との参加者の質問に鈴木教授は、「農産物は買い叩かれがちだが、農協による共同販売が取引交渉力を引き上げる。JA・全農が集荷率を高めると、逆に消費者は安く買えるようになる。生協の共同購入と同じ役割だ」。「就農するにはどうしたら?」との質問には、JAやさと有機栽培部会の取り組み等をスライドで紹介し「農地から販路まで支援している農協や市町村に相談を」と答えた。
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