次亜塩素酸水溶液の脱臭機材による豚舎の脱臭研究開始 静岡中小試とキヤノンMJ2020年11月25日
静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センター(静岡中小試)とキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、キヤノンMJが販売する次亜塩素酸水溶液の脱臭機材を活用し、養豚業界の課題である豚舎の悪臭を脱臭する研究を始めた。将来的には次亜塩素酸水溶液の除菌効果を活用し、豚舎内の家畜の疾病低減に向けた研究も検討する。
静岡中小試の研究豚舎
キヤノンMJは、2019年7月に高い脱臭能力をもつ次亜塩素酸水溶液を利用した脱臭システムを開発し、販売を始めた。当初は、この脱臭システムを主に堆肥化コンポの脱臭用として展開してきたが、昨今の悪臭問題に対する意識の高まりを受け、豚舎や食品工場などに用途を拡大している。
一方、静岡中小試は、畜産業の社会的、経済的な課題解決に向けた研究を実施。静岡県内では、東日本大震災以降に住民の内陸部への移住が増えたことで養豚場近隣への宅地化が進み、養豚場が排出する悪臭が大きな社会問題となっている。また、県内産豚肉のニーズは高まっているものの、悪臭問題が養豚場の規模拡大や新規参入を阻害することで産業振興の妨げになるなど、経済的な課題にもなっている。
こうした課題の解決に向けて、両者は研究を開始する。具体的には、全国に先駆けて「閉鎖型豚舎における無臭技術」の開発をめざす。次亜塩素酸水溶液が持つ脱臭能力に加え、キヤノンMJによる安全、効率的で安価なランニングコストで次亜塩素酸水溶液を生成できるノウハウを活用し、豚舎における最適な脱臭方法の研究を推進する。
今後、両者は悪臭対策だけでなく、次亜塩素酸水溶液の殺菌・殺ウイルス効果を活用。将来的には家畜の疾病低減についての研究も検討し、畜産業の発展を支援していく。
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