医療研究に役立つ免疫不全ブタを小型化 広範な研究利用に期待 農研機構2025年3月5日
農研機構は、免疫不全ブタの小型化に取り組み、従来の8割程度のサイズに小型化することに成功。がんの治療法開発や再生医療の研究への貢献が期待される。

図1:免疫不全ブタの小型化による医学研究への貢献。
今後、5割程度の体重にまで小型化することで無菌的な長期飼育が可能になり、ヒト医療への応用が促進される
ブタは生理学的・解剖学的にヒトに近いため、医学研究において重要な動物です。特に、他の個体や他の動物の細胞を移植しても拒絶反応が起こらないようにした免疫不全ブタは様々な研究に用いられている。
農研機構・理化学研究所・プライムテック株式会社の3者による共同研究で、2012年に開発した免疫系が正常にはたらかない免疫不全ブタは、他のブタやヒトから細胞の移植を行っても拒絶が起こりにくいことから、医療研究機関で再生医療研究、担癌モデルの研究などに用いられている。しかし、体格が大きく(6か月齢で100kg程度)、大規模な施設・サポート人員が必要であること、また、免疫系がはたらかないために感染症に弱く、長期飼育ができない(2~3か月程度)という問題点があった。
そこで、農研機構は、ゲノム編集技術を用いて成長ホルモン受容体をはたらかなくした小型ブタと交配することで免疫不全ブタの小型化を行った。小型化した免疫不全ブタも従来の免疫不全ブタと同様、免疫器官である胸腺やリンパ節を欠損。また、免疫細胞であるT細胞やNK細胞などを欠いていることが明らかとなっている。
今回作出した小型化した免疫不全ブタ(2か月齢で約13kg)は、従来の免疫不全ブタ(2か月齢で約16kg)と比較して体重はおよそ8割程度。今後は、小型ブタとさらにかけ合わせることでおよそ5割程度(2か月齢で約8kg)までは小型化し、小型であるメリットを活かして無菌飼育に取り組む。これにより長期間(半年以上)の免疫不全ブタの飼育が実現すれば、マウスなどでは困難な長期にわたる試験を必要とするがん治療法の開発や、ヒトの血液・組織の移植といった再生医療に関する実験など、ヒトの健康に役立つ研究への貢献が期待できる(図1)。
重要な記事
最新の記事
-
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日 -
鹿児島県「三島村フェア」開催 東京・日本橋で特産品を販売 離島百貨店2025年12月15日 -
三浦市・JA三浦市と開発「三浦大根を使った和風カレー」発売 石井食品2025年12月15日


































