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畜産:JA全農酪農部

食卓に欠かせぬ牛乳・乳製品2015年4月1日

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JA全農酪農部宮崎部長に聞く

 牛乳・乳製品は食卓に欠かせない食品だ。しかし、わが国の酪農は高齢化の進展とTPPなど国際交渉の先行き不透明感から酪農家戸数が減少し、生産基盤が弱体化している。一方、アジアを中心とした需要拡大によって世界の乳製品需給は不安定要因も多くなっており、食料の安定供給と地域社会の維持のためにも生乳生産基盤を強化していくことは今後の大きな課題となっている。最近の酪農情勢と生産基盤強化、需要拡大に向けた課題についてJA全農酪農部の宮?部長に聞いた。

◆地域で酪農を支え生産を維持・拡大

 ――酪農生産基盤の弱体化が云われていますが、生産の現状についてどうみていますか。

toku1504010201.jpg わが国の酪農の生産基盤は、酪農家戸数の減少と飼養頭数の減少により弱体化が進んでいるという現状にあります。
 酪農家の平均年齢は、後継者問題や新たに就農される方が少ないこともあって年々高齢化が進んでいます。わが国の酪農は、飼料作物の栽培・給餌・搾乳・繁殖・衛生管理・育成など多岐に亘る仕事をして世界的にトップクラスの乳成分や乳質を誇っています。ただ、高齢化に伴い作業負担が重くのしかかり、こうした農作業を続けることが難しくなってきている現状にあります。
 また、肉用素牛が減少していることから、乳牛への黒毛和種の交配率が上昇し、都府県で50%、北海道で20%を超え乳用初妊牛の価格が大幅に上がっていることも飼養頭数減少に拍車をかけています。
 さらにTPP農業交渉の問題などから、酪農後継者の中には、先行きを不安視する人もいて、設備投資の抑制も含め、総じて、生産基盤弱体化に拍車がかかっていると感じています。

(写真)宮崎部長・JA全農酪農部

 ――その他にどんな要因がありますか?

 酪農家だけではなく、地域の関係者やサポーターの減少も基盤弱体化に影響しています。機械メーカーや獣医師、農協や飼料会社の担当者、酪農を支える多くの関係者が、以前のように、酪農生産の現場にはいなくなっているという実態もあります。
 今般、畜産クラスターによる生産基盤強化が期待されていますが、併せて、地域・全国で地域の酪農を支えるという意味でこうした関係者の皆さんとの連携強化や体制強化が生産基盤の維持・拡大に繋がると考えています。


◆不安定要因の多い乳製品の国際市場

 ――諸外国の牛乳・乳製品の需給はどんな状況なのでしょうか?

 世界では、EU・オセアニア・北米が酪農の主産地で、それぞれがバター・チーズ・粉乳をアジア全域、中東などに輸出しています。輸出はほとんどしていませんが、インドやブラジルなども生産大国です。わが国は、チーズを中心にバターや粉乳類などをオセアニア中心にEU・アメリカなどからも生乳換算で400万t強輸入しています。これは牛乳・乳製品の総需要量の35%強に当たります。
 近年、世界の生乳生産は、増加傾向にあります。中国を中心としたアジアでの大幅な市場拡大による乳製品の国際市況の上昇を受け、主要国の乳価が値上げになっていることが背景にあります。
 ただ、主要国の乳価については、需給で太宗が決まるため変動も大きく、直近では、値上げによる増産で乳製品の価格が大幅に下落したことで、生産者乳価も下がり生乳生産が減少するといった反動のような現象も起きています。
 中国の経済発展や世界的な異常気象、さらにはエネルギー情勢などを考えますと、今後、乳製品の国際市場は、さらに不安定化すると懸念されています。

 ――わが国の牛乳・乳製品の需要動向についてはどうですか?

 わが国の生乳生産量は、平成25年度では745万tですが、生産基盤の弱体化により減少傾向にあります。北海道で52%、都府県は48%で年々北海道のウェイトが増加傾向にあります。
 わが国の生乳の需要は、これまで、その大半を牛乳に求めてきました。しかし、少子高齢化や食の多様化、飲料のバラエティー化の影響で、平成6年度の450万tをピークに、現在は、310万tまで減少しています。学校給食で飲まれている牛乳も、64万tをピークに現在では36万tまで減少しています。
 一方、乳製品の需要は、チーズやヨーグルトなどどの発酵食品の市場が拡大しています。チーズには、フレッシュチーズのように熟成しないものから、パルメザンのように1?2年の時間をかけて熟成させるものまで、多種多様なチーズがあり、食のシーンや味の好みなどに合わせ需要が拡大しているという現状です。


◆国産の牛乳・ 乳製品の価値と魅力を発信

 ――ヨーグルトなど売れ筋商品もあるようですが?

 ヨーグルトは、乳酸菌のもつ免疫活性などの効果が広く消費者に認知されるようになり、多くの新製品が生まれ消費量が伸びています。私どもの子会社の東北協同乳業でも東京大学の薬学部と連携し免疫活性力に大変優れた11/19―B1乳酸菌を使用したヨーグルトを昨年発売しました。地元の医科大学に協力して頂き、乳酸菌の持つ可能性を探っているところです。

 ――牛乳・乳製品の需要拡大のための課題は何でしょうか?

 乳業界を中心に需要創出の努力がある一方で、生乳の需要全体でいえば、減少傾向に歯止めをかけられていない現状にあります。牛乳の消費の落ち込みが大きすぎるからです。今後の生乳の需要拡大については、牛乳消費の減少傾向に歯止めをかけることと併せて、消費者に魅力のある商品として、牛乳・乳製品の提供努力をしていくことが重要と考えています。
 現在、流通している牛乳の90パーセント以上がUHT殺菌によるものです。この牛乳の最大の特徴は、高温殺菌のため短時間に殺菌処理が出来て賞味期限が長く設定できることです。
 農協プラントなどの一部の乳業では、低温殺菌の牛乳や、特殊な製法による「美味しい牛乳」を作ったりされていますが、消費者に、なるほどと思って美味しく飲んでもらうためには、まだまだ余地があると思っています。飼養管理にこだわる、衛生管理にこだわる、牛自体にこだわる、流通や殺菌などの時間にこだわるなどの工夫が新たな需要を生み出すものと考えています。
 また、牛乳は、いろんな食材とコラボできる原料素材でもあります。コーヒーや果汁・野菜などとブレンドした商品は今もありますが、料理用も含め、牛乳が広範囲に需要拡大するようなアプローチを国産の牛乳・乳製品の価値をご理解頂いている取引各社に働きかけていきたいと考えています。
 牛乳・乳製品は食卓に欠かせない重要な食品となりましたが、先ほども触れましたように、世界の乳製品の需給や価格は不安定さを増しており、国内の生乳生産減少により輸入乳製品等のウェイトが高まることは、一方で、牛乳・乳製品の安定的供給や価格面でのリスクを高めてしまうということにもなりかねません。
 そうした意味でも生産基盤強化の取り組みは大変重要と考えておりますし、また、生乳・乳製品などの取引を通じ、国産の生乳・乳製品の質的・量的な価値を深くご理解頂けるよう、これまで以上に努力していかなければならないと考えています。

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