生モズクのブランド化と6次産業化を視察 地域・社会課題の解決へ事業構想作り 全中教育部が沖縄で「ミライ共創プロジェクト」研修(1)2024年12月18日
JA全中教育部は12月11、12の両日、沖縄本島で「ミライ共創プロジェクト」の第3セッションとしてフィールドワークと討論を行った。11日はうるま市の勝連地域で日本最大の生産量を誇るモズク栽培の事業などを視察した。同地域では「沖縄うるま船団丸」による生モズクのブランド化と6次産業化の取り組みが注目されている。その作業などを視察し、船団丸事業を全国で展開するGHIBLI(ギブリ)の坪内知佳社長による講演も行われた。
GHIBLIと沖縄うるま船団丸のメンバー
ミライ共創プロジェクトはフィールドワークとワークショップを通じて着想の幅を広げ、地域の人々に新しい価値を提案・提供できる経営人材の育成を目的にしている。24年度は全国のJAから中堅職員11人が参加(視察には10人)し、地域・社会の課題解決につながる事業構想の作成と発表をゴールにしている。発表会は25年4月15日、東京・大手町のJAビルで行う。
戦跡と米軍基地の視察で学ぶ「沖縄」
11日のフィールドワークは最初に、沖縄戦の激戦地であった宜野湾市の嘉数高台公園に残された戦跡と高台からオスプレイが配備された米軍普天間基地を視察した。沖縄の産業を考える際には、沖縄戦の歴史や現在も本島の15%を占める米軍基地の存在を理解することは不可欠との考えからだ。
高台から米軍普天間基地のオスプレイを視察
生モズクで地域を活性化へ、船団丸の挑戦
勝連地域では生モズクの加工場や船上作業を視察した。同地域では8カ月ほど前から、テレビドラマ「ファーストペンギン」の主人公のモデルとなった坪内社長のGHIBLIが支援に入り、地元のモズク漁師が「沖縄うるま船団丸」を結成。極早生・無塩蔵の生モズクを「生粋海蘊(なまいきモズク)」としてブランド化するとともに、ネット販売や飲食店など直販ルート開拓による6次産業化を始めている。この視察と講演を通じて地域・社会課題解決へのヒントを探った。
勝連地域でのモズク生産は30年ほど前からスタートした比較的新しい産業だ。近年の温暖化の影響から、栽培時期が変動したり、収穫量も「かつての3分の1程度に減少」(沖縄うるま船団丸の東卓弥船団長)している。浜での販売価格も最近は1キロあたり130円程度に低下するなど存続の危機にあった。そこで、「ファーストペンギン」を視聴した東氏らが坪内社長に直談判し、協力を取り付けた。
そこで注目したのは、市場に流通してない生モズクだった。モズクのぬめり成分には抗がん作用や抗腫瘍作用など様々な健康効果がある食物繊維「フコイダン」などが含まれる。通常、成熟したモズクは2年ほど塩蔵保存されてから出荷される。しかし、地元の漁師らは加工に回すより早い、3~4月に収穫するモズクを生で食している。プリプリの食感で味もおいしく、塩蔵で失われるぬめり成分も保持された優れた産品。これをブランド化し、販路も飲食店やネットに広げる計画を立てた。
お湯につけると鮮やかな緑に戻る生モズク
地元の自治体にも相談し、漁協の加工場も今年2月に新設された。地下50メートルから石灰岩でろ過された新鮮な海水をくみ上げ、収穫したモズクを洗って冷凍保存する。解凍してもぬめり成分は保持され、生でも甘塩などで味付けしてもいい。500グラムのパックならネットの直販で2862円(税込み)で販売している。
モズク加工場の説明に耳を傾ける参加者
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